2014年11月8日土曜日

ハンドメイドパイプ

また、パイプを作ってみた。





今回のテーマは「やり過ぎない」である。前回は無駄にデザインに凝ってしまい、結果的に『かぼちゃ』みたいなパイプになってしまったので、今回は


『どんぐり』


と言う当初のテーマに戻った。


しかし、矢張り凝ってしまう。



ダンヒル(世界一のパイプ・メーカー。一本10万円位する)はパイプの原木を
『オイル・キュアリング』
と言う手法で彼是しているらしい。

話によると『軽くなる』んだとか。

口に咥えるものだし、軽いほうが良い・・・と思い実行する事にした。


調べてみると


『オリーブオイルに浸した原木をオーブンで焼く』


と言うモンなんだとか。しかし、どの位の時間、オイルに浸すのか?どの位の火力で、どの位の時間、焼くのか?

全て謎。

実際、ダンヒルも其処までは公表していない。


なので『感』である。




原木をオリーブオイルに1時間ほど浸す。


オーブン(トースター)で4時間くらい焼く。


本来ならば原木に含まれる不純物等が出て行くはずなのだが、オリーブオイルの美味しそうな匂いしかない。

出来上がりが此れ。





殆ど、『炭』である。


まだ諦めてはならない。好きな漫画ではなかったが、この台詞が脳裏を過ぎる。





頑張って更に削るのだ!。








ガリガリと悪魔の如く堅い原木を削るのだが、どうしても炭っぽく黒くなった部分は取れない。
諦めるしかない。

『オイル・キュアリング』でオーブンで焼いているのはダンヒルだが、他のメーカーは


『油で揚げる』


と言う方法なんだとか。『YAHOO!知恵袋』では

『マイクロウェーブキュアリング』と言う方法を考案した人が「どうだ!」と書いていたが、内容は


『オーブンではなく電子レンジでチン!とする』

と言うものだった。効果は皆無らしい。で、その人は更に考えに考えて

『マイクロ・ウォーター・キュアリング』

と言うモノも考えた。此れは

『水で濡らした原木を電子レンジでチン!とする』

と言うモノ。当然、意味がない。しかし、当人に言わせると


『煙が金粉のように立ち上り、吸うだけで感動の涙を流し、もうパイプはこれ以上いらないやと思いたくなるような劇的なパイプが欲しいんですよ……
煙草を百倍にも千倍にも美味くする、最高のパイプを。』


と熱心らしい。しかし


煙が金粉のように立ち上り


と言う部分が詩的で良い。だが、所詮は喫煙具だ・・・と言いながらも殆ど半日もかけてオーブンで焼いているのだから人の事は言えない。


で、『原木が軽くなった』か?と言うと




全く変わらず!!!!




若しかしたら0・1グラム位は変わったかもしれないが0・1グラムの為に半日は全く無意味。


若干の徒労感を観じながらも削る。










お、中々、良い塩梅。良いシェイプになってきた。


よっし、よっし。


此れをさらに削る。削る、と言うか紙やすりの600~1000番と言った半ば『荒い紙』みたいなモノで削るというより『撫でる』だが。


次はいよいよ着色である。


前回は完全に失敗だった。本来ならば黒を塗って、削って、其処から着色だったらしいのだが行き成り着色した為、妙な色になってしまった(気に入っているが)。

今回はお手本どうりにやろう。





・・・・・・と思ったが、そうも行かない。こう言う事は大いなる無駄を存分に行わなければならない。

どの道、吸う奴ぁ私だけなんだから。

なので


①黒を着色

②剝がす

③再度、黒で着色

④剝がす

⑤黄色を塗る


此処でフト、後ろを振り返ったら『ウィスキー』があった。折角なので塗ってみる。


⑥ウィスキーを塗る

⑦黄色を塗る

⑧少し削る

⑧ウィスキーを塗る



此れで一晩。



翌日、仕事中に「やっぱり赤が良いな」と思い立ち、帰宅してから直ぐに『赤いニス』を取り出す。


⑨赤を塗る

⑩再度、赤を塗る

⑪ウィスキーを塗る

⑫赤を塗る

⑬ウィスキーを塗る

⑭赤を塗る

⑮ウィスキーを塗る


何回、やったか。


思えば、黒を塗り始めた頃から頭痛が酷くなった。未だに痛くて病院に行ったほどなんだが、今日になって

『ニスによるシンナーでの頭痛』

と言う事が判った。締め切った部屋で延々とこんな事をしているんだから当たり前だ。シンナーでの頭痛は3日くらいは来るらしい。


余りの頭痛に仕事を1日と半日、休んだほどだったが会社には口が裂けても言えないマヌケな事情である。


最後はワックスを力一杯、塗りこむのだが国内でも数少ない『パイプ作家』のページを見ると

「最後はパフ掛けをしましょう」

とある。しかし、パフ掛けをする機械なんて買えるんだったら俺は派遣なんてやってねーよ!と。
冗談じゃない。

こう言うニッチなジャンルのマニアってのは紳士的な口調で押し付けがましいモンである。私はそう言うマニアに好まれるのか新宿の『加賀屋』で原木をボンヤリと手にとって見ていたら『ギャル男が崩れた感じの男性』から突然、話しかけられた。

「ハンドメイドパイプにご興味があるのですか?パイプを作られるならビリヤードタイプから御作りになられた方が良いですよ」

「いやー、ビリヤードパイプは持っていますから・・・」

「私は関東パイプオフ会で柘植さんから『オマエはもっとビリヤードを極めなければ駄目』と言われましたから」

「つ・・・柘植さんからですか!!!」

「ええ・・・。ですから、経験者として、最初はビリヤードの方が宜しいのではないか?と」


これ、脚色しているワケではなくて本当にこう言う口調だったんだよな。宮内庁の役人とか、公家かって。


「因みに御作りになられたパイプの写真とかありますか?」

「いや、そんなに沢山はありませんけどね・・・ふっふっふ」

と自慢げにipoenを出す。すると結構、マヌケな形が多い。ハート型とか。

「此れは友人女性の為に作ったパイプですね。此れは2本目で・・・。これはパイプを咥えてキメ!のポーズをとっているところです」


こう言うニッチなジャンルで「アホか」と言う言葉はタブーである。

「スゲー!カッコいいですね!」

と褒め称えるのがマナー。そう言う意味でボディビル界隈と似ている気もする


しかし、後日になって

「作りたいモンを作って何が悪い!」

と思ってビリヤードタイプ(一般的なパイプ)はやめた。



で、ワックスだが加賀屋で買って塗る。二回塗るのだがパイプ作家のページでは、万力で固定して、ひも状にした布で左右を握りしめ、1~2時間ほど「左!右!」と擦る、とある。

万力で固定する場所もないし、そんなに頑張らなくても良いと思う。


ってか、パイプ作家の事は余り信用なら無い事に気が付いた。

普通に力をこめて握って、ギュウギュウと擦りつける。此れで十分だろう。






そんなワケで完成したのが、これである。


















を着色しながら上から見ると女性のヴァギナみたいだなぁと思った。

ワックスを掛け過ぎたのか、吸うと濡れるところも中々、エロティシズムではないか。ってか、単に私がワックスを多く付け過ぎただけで、暫くすれば枯れるはずが。


漸く完成。


味はどうか?となると、其処まで美味しくない。シェイプは良いのだが、私が吸っているのが『甘い香り』と言う事もあり本来であれば


吸い口がデカイ

ボウルがデカイ


のが良いのである。しかし、今回はボウルの大きさは良いとして吸い口が少し小さい。

其れとワックスがまだ染み出てくるので、其処も問題である。我慢して吸っていれば、良いパイプになるはずだが、まさに


『調教』


である。ったく、労力を考えたらパイプなんて買った方が全然、良いんだよな。パイプ熱が覚めてきたからやってみたんだが、良い勉強になった。


パイプは買う物であって、作るモノではない


そんなもんだ。