2014年4月2日水曜日

桜散る。ゼロ戦

が咲いている。




桜の開花状況は楽器の練習の際に蚕糸の森公園で確認しているのだが、矢張り良いなぁと思う。
桜を見て何か思う、って多分『別れ』と言う感情に対して何かを思うんじゃないか、って気がする。

花は咲いては散るモンだが桜は豪壮である。

その豪壮さに呆然とする、と言うか。



ソメイヨシノは野生ではなく人工的に作られた木である。だから「大自然の云々」」ってのは違うんだけども、考えてみると『活花』と言うジャンルで見ると世界最高傑作なんではないか?と思う。
活花と言うより園芸のジャンルらしいが。


明日、花見に行くのだが思えば今まで見た桜で一番、美しかったのは新宿御苑でも六義園でもなく

『救世軍病院』

だった。


311が起きた頃に何故か桜が満開で(思えば今年は4月なので開花が遅い気が)原発が爆破していて、俺は死ぬんだな・・・って思った。

其処へボケ老人のレクレーションとかやっているのである。介護業界って『お花畑ちゃん』で成立っていて、震災なんて屁と同じ位にしか考えてない。


で、ボケ老人を抱えて桜を見る。


もう、最後の桜かと思うと豪壮で泣けるほど美しかった。





で、話は変わるが仕事が終った。1ヶ月半の短期業務だったが、まぁ嫌な職場だった。
連日、私は社員にキレる日々。

「ですからぁ!」

みたいな感じでキレまくる。ボールペンを投げつけながら、である。
一度、隣の席に座っていた23歳の女の子がビビっていたし。

しかし、私も週2~週3日程度しか出勤しなかったので

「嫌な会社」



「嫌な派遣社員」

と言うお互いが憎しみあう、良い関係だったのかもしれないが。



しかし、俺の仕事は何回目なんだ。120回までは覚えているのだが。伯父の会社に言ってノイローゼになり、休職。
で、株式会社ニコ●。

嫌だったのは伯父の会社が若干、未だにトラウマになっているのだが伯父の会社とニコスって結構、近かった。

会社の横を曲がれば取引先の『上野科学』がある(此処はプラナリアとかアメーバ等の生物を扱う店)。


其れも嫌だった。



で、会社の横が六義園なんだが老い先短い老人達が「現世で最後の桜」を見ようと大挙して加齢集と漏らした尿と糞便の臭いをさせながら集合。

「最後だから」

桜の木を圧し折り「戦利品だ」と満州帰りの頃の思い出話に花を咲かせながら悦に浸っている。


「思えば上海で抱いた女がなぁ」

「俺は満州だったなぁ。満州女はアソコが臭くてなぁ」

「しかし、インドネシアよりゃマシだろ。あいつら割礼してやがるからコッチが必死で付いてもウンともスンとも言わねーんだから」


と茶を啜りながら語っている。


老婆は老婆で


「空襲がない日は暇だったわよねぇ」

「そうそう。夫も出兵していからねぇ・・・」

「うっふ。近所の大学生さんをよく摘んだもんよw」

「する事って其れしかなかったもんねぇ~w」

「あと犬の肉ね」

「不味かったわよね」

「でも、あの空襲」

「東京のね」

「焼け野原で金歯を集めてねぇ。会社を興したんだけど息子が株で失敗しちゃって」

「アタシもよぉ。彼是と金時計とか取ってきては売ったんだけど『おれおれ詐欺』で年金がなくなっちゃったわよ」


等と甘酒を飲みながら話している。


「今年の桜が最後かも知れないからねぇ」


がキメ台詞だが


「そう言えば戦地から帰ってきて陛下の放送を聴いたときも桜が咲いていたよなぁ」

「蒸し暑い日だったな。アメリカさんがやってきてなぁ」


と矢張り、若干の痴呆を感じさせる事も言っている。



六義園の横には『フレーベル館』と言うアンパンマンを主に売っている会社があるのだが、出店で『アンパンマン・グッズ』を売っていたらしい。

社員達の暇潰しなのか、思いつきなのか。

だが、老人達は『孫』が好き。孫の為なら死ねる!と言う人種だ。で、『アンパンマン・グッズ』を買うのである。

アンパンマンは空腹に悩む人に自己犠牲により顔面を食べさせるが、自分達の若い頃は空腹に悩む上野駅周辺の戦争孤児から食料を奪っていた分際なのだが

「孫が喜ぶから」

と買う。

だが実際の孫は『アンパンマン』よりは『ipone5』の方が喜ぶのだが、嘗てはハイテクノロジーの集結だった『ゼロ戦』のパイロットだった老人なのに

「あんな機械でゴチャゴチャとしたものは判らん」

の一言でだ。何しろゼロ戦なんて動かすのに最低でも5年の修練が必要だった厄介なマシンだったのに。


で、帰宅後に孫に『アンパンマン』を渡して「いらねー」と捨てられる。



そう言えば4月は『死亡退会』が多かった。


多分!、「嗚呼、春が来た・・・」とホッとして、「あっぐぅ」と死ぬんだろう。冬は寒いから頑張るのだが春のウララに油断する。

夏は暑いから頑張るのだが、紅葉の時期「暑さ寒さも彼岸までだなぁ~」と言にった先から本当に彼岸に行ってしまう。

で、遺族に多額の葬式代を負担させ、棺桶で焼かれる。途中で「っは!」と蘇る事もあるのだが、葬式会場が「あの、ご遺族様が生き返りましたが・・・」と言っても遺族は後の火傷の治療費を考えて、

「そのまま燃やしてください」

「でも、焼き場のドアをドンドンと叩いて『出せー』と仰っておりますが」

「気のせいです。火力を上げてください」

「良いんですか?」

「死んだ人が生き返るなんてあり得ませんからねえ」


(出せー!わしゃ、死んでないぞー!トメー!トメー!ドアを開けろー!と言う声が会場に響いている」


「・・・聴こえるでしょ?」

「さぁ?最近は耳が遠くて。歳をとるのは嫌ぁえねぇ」

「どうしましょう?」


其処へ掛け算が出来れば入学出来る程度の大学に入学した孫が言うのである。彼は当然、『グラップラー刃牙』のファンだ。
そもそも家族なんて基本的には残酷な組織なので





この一言で火力をMAXにし「出せー!」と言う叫びは段々と小さくなり、無言となって漸く家族も安心するのである。


で、骨と化した遺骨を前に

「貴方!アタシよりも先に逝くなんて・・・!うぅ・・・。どうして!どうして!どうして!私も後を追いますから、あの世でも一緒になりましょうね!」

と妻。

だが『後を追う』予定なのに『コエンザイム』『プロポリス』『早朝の太極拳』は欠かさない。


そんなモンだ。



昨日、桜を見ながら練習していたのだが、何故かそんな事を思った。死亡退会が矢鱈と多かった仕事だったが、こう言う出来事が多かったんだろうなぁと。


明日は花見に行く予定。


私はまだ死ぬ予定ではない。

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