2014年5月16日金曜日

北欧/コペンハーゲンツアー⑥/JAZZHAUSE

初ライブから翌日。




死んだように眠ったお陰か体調は回復。初日はアルコールでぶっ倒れ、翌日はハーブでぶっ倒れ、当日は北欧らしい寒さ。

そりゃ疲れるよな、と思う。



だが演奏は上手く行ったとは言えヤマハのマウスピースでは若干、難儀したのでホテルから徒歩30分(海外はなんだって遠い)のブラス専門店へ。

本来であれば前日に行く予定だったのだが、その前日に吸ったハーブが効き過ぎて道を間違えていた。
徒歩、1時間かけて行ったのだが到着してみたらトミーのスタジオなのである。

「おかしいなぁ・・・」

と1時間かけて探すが見つからず。自転車の男性に尋ねると

「こんな処にブラス店はありませんねぇ。私がよく利用する店は此処ですよ」

と全く違う事をいう。

「え?よく利用する?貴方もトランペッターなんですか?」

「私はフレンチホルンです」

「凄い!」

「いえいえ・・・」


モノの本によるとデンマーク人男性はシャイで礼儀正しく、腰が低いんだそうで。この男性は、そんな感じだった(身長がデカい事も含めて)。

結局、其の日は諦めたのだが漸く行けた。






店はホテルからGOOGLEマップでは20分とあったが、実際には40分掛かった。海外は何をとっても遠い気がする。

しかし、品揃えが悪い。店員が彼是と出してくれるのだが中々、良いものがない。




そもそも10数年間、マウスピースを変更した事がないので私も何を基準にすれば良いのか判らない。

彼是と悩んで付け焼刃的に

バック7EW』を購入。


昨日のギャラが吹っ飛んだ。まぁ、今日もギャラは出るだろう、、、と思っていたのだが終わってみるとノーギャラ。とほほ。



で、ライブだがJAZZHOUSEと言うJAZZクラブ。

日本で言えばブルーノート東京みたいな場所。


地下のメインステージでは地元のバンドが死ぬ程、どうでも良いJAZZをやっている。私が客なら怒鳴っているところだが此処は異教の地。

ドラムは単なるメトロノームだし、ピアノはビル•エバンスの1000000000煎じ。最悪なんだけどコペンハーゲンの人たちはクラシックコンサートのように大人しく聞いている。

後半は後で知ったのだが恐らくデンマークの名士的な詩人が朗読でJAZZ Poetry。だが、デンマーク語なので何を言っているのかサッパリ、分からない。







で、私。

私は23時半のMidnight Jazzと言う項目。




判り難いので簡単に説明すると、店はメイン・ステージと、サブ・ステージに別れる。

メイン・ステージは地下にあり、キャパは200~300人位。ドラムセットもある。
サブ・ステージは一階にある。Midnight JAZZと言う項目は恐らく普段は若手とかJAZZ・ボーカルの若手とか、風雲の志抑えがたいフリージャズの若手とかがやるんだろうと思われる。
私は

「NAT JAZZ」

と書かれている。ニーポンから来た変なJAZZじゃないけどMusicianね!と言う感じなんだろうか。


(JAZZHausemの前)


(NATJAZZ:KO.DO.NA)


で、演奏スタート。

Midnight JAZZって事でメインステージの糞JAZZトリオの演奏が終わって一杯やっている紳士淑女の皆様と、ボーイ・ミーツ・ガールがゴチャゴチャといる。紳士淑女の皆様は如何にも「JAZZって素敵ねぇ」と言うかハイソサエティな感じ。

其処へ東洋の島国から来た小人トランペッター。



「今からやる作品はとても小さな音の作品だ。少しの間、静かに。そして耳を象のようにして聴いてくれ。」


と言ってプリペアド・オルゴールからスタート。



(サウンドチェックが終わった頃)



(演奏前1時間前)



(この日だけピアノが使えた。良いピアノだった。良い音で歌ってくれる)



(演奏は23時からだったので時間が余る。トミーが中東料理を御馳走してくれた。食い方が判らないのでトミーのレクチャーを受けながら。美味しかった。こう言う時のトミーの表情は可愛い)




(ステージ)








オルゴールの曲までは良かったのだが、電気tpの出番になると客がドンドン、帰っていく。



「此れが貴方達が求めている音じゃない事は100も承知だ。だけど、これが俺のスタイルなんだよ・・・・」、、、


と思いながら演奏続行。


途中でMC。

「此処はJAZZクラブだ。此れはJAZZではないかも知れない。だが、JAZZとはなんだ?!JAZZはエクスペリメンタル•ミュージックであり、そして我々の音楽であり、全ての音楽はJAZZだ!これはJAZZだ!」

と叫ぶ。若干、キレ気味。



最後の曲ではボリュームを目一杯まで上げる。爆音である。演奏しながら自分でも

「もう、今日は何のステージなのかわからんな」

と思ったほど。

だって、メインステージではピアノ・トリオなのである。糞上品で、糞みたいにエレガントな。
で、サブ・ステージではノイズなのである。こんな組み合わせ、アリなのか?


最終的に客は半分が進んだ処で半分が帰った。トホホ・・・と思う。

「コペンハーゲンでは厳しいのかねぇ」

とか。




ところが。



終わってから残っていた客から「マジで感動した。あの爆音が余りにも心地良い。鳥の会議でのピアノも天国の音だ。」との事。

「昨日のメイフェんのLIVEに行きたかったんだけど行けなかったから来た」

「昨日のLIVEを見て、また来ちゃったよ」

なんだとか。

ありがたや。


で、質問攻め。

「ケイジ・ハイノは知っているか?」

「インキャパシタンツはどう?」

「あの髪が長くて、サングラスしてノイズの・・・(メルツバウの事だった)」

「ボアダムズは?」

とか聞かれる。あとは「ジョン・ケージは好き?」とか。ってか今時、JAZZをやっている人間でもケージは無視出来ないから質問が変ななんだけども。

話してみると日本や海外のノイズ・ミュージックが好きな子ばかりである。日本もデンマークも同じで、一定数いるらしい。

何となく『非モテ』感がある。こう言うのは洋の東西を問わず、そうなんだろう。


「どうして、こう言う音楽なの?」
「どうして音量が大きいの?

と聞かれる。

英語は苦手だが頑張って答えるしかない。


あ、今、思い出したのだが今年の初めに知人のYと言う女性から(今だから書くが)

「音量を上げる事はイケナイ事だ。共演者への配慮が足りない」

と言われて

「冗談じゃない。ボリューム・スイッチがアンプについているのは何の為ですか?健康の為だとでも言うんですか?俺の音がデカいワケじゃない。共演者の音が小さいだけだ。だったら共演者が音を上げろ!」

「でも、おちょこさんが迷惑がっていた」

「知ったことか!そもそもアンタは見てないじゃないか」

「でも、おちょこさんが言ってた」

「じゃあ、おちょこさんの音が小さいんですよ。俺の音がデカいなんて有り得ないですね。俺の音がデカいと思ったんだったら、その日、おちょこさんが叫べば良かったんですよ。フェーダーを上げるとかね。自分の演奏に必要な音量だから仕方がない」

「でも、おちょこさんが」

とY本さんは延々と言う。そのY本さんはエレキギターを弾いているのだが、音量が云々と言うならばアコースティックギターとかガット・ギターでも弾けば良いのに。




しかし、此処は異国。「音量のフェーダーは健康のために付いているワケではない」と答えるワケには行かない。

何らかの説明が必要だろう。


「大音量や小さな音量、と言う風に区別した事はない。全て必要な音量だ。小さな音も、大きな音も私にとっては同じモノ」

「大音量と言っても、大音量じゃないと表現出来ない事もある。例えば教会の鐘、祈りの声、子供の声、愛を伝える声、どれも大音量だ。聞き手にとっても音を出す側にとっても。魂にコミットするためには大音量である必要があるし、同じ意味で、とても小さな音量も必要だ」


とメチャクチャな英語で伝える。
大体は伝わったらしい。

(演奏終了後)




しかし、ビールが水より安い国で、何故か連日、呑まされている。
終わってから、打ち上げなのかトミーの友人の韓国系のベーシストかギタリストの男性と呑む。

「コペンハーゲンに来るまで、皆、デカいと聴いていたから不安だった。私は身体が小さいから」

「はっはっは。僕もだよ!」

「そう言えば同じだw」

「そう言えば彼女とかいるの?」

「勿論!デンマーク人の彼女がいるよ」

全く東洋の鏡のような男性だった。ってか、普通に良い人。ルックスも体格も良いし。

「日本で演奏した時は不思議な感じだった。此方が必死に盛り上げようと演奏するんだけど、客席は静か。あれ?あれ?って思った」

「日本の人達は演奏中に盛り上がっているんだけど、其れを表現する事はないんだよ。そう言う事を表現する場はリアルタイムではなく『ツイッター』なんだ」

と話すと「確かに分かる気がする」と笑っていた。



(トミーと、彼と)



しかし、ノーギャラ。

トミーは私がデンマーク人と同じ金額を所有している、と思っている節がある。LIVEは23時からだったからトミーが街案内をしてくれるのだが、Effector専門店とか面白いし、北欧デザインのEffectorは確かに欲しくなる程、素敵。インディーズ系の音源を扱う店などもある。ガジェット的楽器を売っている店とか。
金がないから買えないっつー。


コカコーラが300円。
コンタクトレンズの洗浄液が4000円。
シャンプーが1790円。
ママチャリが4万円(中古)。
型落ちのマッキントッシュが5万円。

ビールが100~150円(何故かビールだけは激安)。
地下鉄で一駅で500円。


ビールを除けば全てが高額である。





そう言えば余談だがホテルの朝食は不味かった・・・と言うかデンマーク料理は日本人にすれば大抵、不味い。
で、JAZZHAUSEでの控室はスタッフルームの横だった。


横でスタッフがPCを弄りながら賄いを食べているんだが、其れが

『生の人参』

だったりする。皮すら剥いてない。「皮くらい剥けよ!」とビックリした。他の人は滅茶苦茶に適当に作ったと思われるパスタを食べている。何というかパスタに色々なモノを混ぜました、と言う感じ。

『ねこまんま』

みたいだった。

だが、私は連日、フランクフルト・ホットドッグを食べている。理由は「経済的理由」なんだが。
しかし、やっぱり人参の皮は向くべきだと思う。

さて、次回はラストのアジアハウス。

上手く行くと良いのだけども。

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