2015年6月12日金曜日

それはフリージャズじゃない。

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フリージャズを切り開いたジャズの革新者、オーネット・コールマン(Ornette Coleman)が6月11日の朝、ニューヨークのマンハッタンで死去。家族の代理人によれば、死因は心不全。85歳でした
http://amass.jp/57843/
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ついに死んだか・・・。


チャーリー・パーカーはジャズを変えたと言うよりは極限まで発展させて、オーネット・コールマンは其れを殺した、と言う気がする。

両者ともアルト・サックスだ。

『モダン・ジャズ』と言うものがあって、それに対しての

『ポスト・モダン・ジャズ』

と言うものがあったとすれば、其れはオーネット・コールマンの事だったと思う。

『ビ・バップ』
『ハード・バップ』
『ハードコア・バップ』

と言うか。ジャズを変えた、ではないんだよな。

音楽を変えたんだよな。


マイルス・デイビスはオーネット・コールマンを嫌っていたが、マイルス・デイビスが行った革新はパーカー的と言うか、既にある方法論を拡大と発展だったが、オーネット・コールマンは既にある方法論自体をぶっ壊してしまった、と言うか。
本人にそのつもりがあったのか、どうかは分からない。
ただ、結果としてそうなってしまった、と言うか。



博多区のジャズ喫茶。

鬱屈していた青年。

友達もいないし、恋人もいない。

しかも金も無い。

リクエストした曲がオーネット・コールマン。

「フリージャズってこんなにカッコイイんだ!これがジャズか!」

と気が付くと膝が動く。

店に鳴り響くThe Shape of Jazz to Come。

「フリージャズってこんなにカッコいいんですね!」

と店のマスターに言うと隣に座っていた男性が

「フリージャズが好きなのか?」

と聴いてきた。

「阿部薫とかアルバート・アイラーも好きだけども、今日のオーネット・コールマンの方がカッコいいです。フリージャズってこんなにカッコ良いんだ!と思いました」

「フリージャズは良いよ!私もピアノを弾いていて、この店で何度も演奏している。何度も弦を切っちゃったよ」

そんな会話から彼とライブをやる事を約束して、ウキウキして自転車で帰った。

ライブよりもオーネット・コールマンの音に気分が高揚した。
ただ、彼とのライブは実現しなかった。連絡先も交換しなかったし、私はその1年前にガラクタのようなTPを買ったばかりで、まともに吹けるようなモノではなかったから。



後日

「彼は『所謂』なフリージャズをやるんだよ」

と彼を知る私の師匠が言う。

「まったく典型的な、ね。でも、其れはフリージャズじゃない。あんたがオーネット・コールマンを聴いてカッコエエ!っち思った気持ちがフリージャズなんよ。やからアンタがやりよる事、やろうと思っちょる事がフリージャズなんよ」

思えば師匠に恩返しの一つもしてないな。
思い出してしまった。
スミマセン。Kさん。



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