レンタルDVDって先進国だと日本だけで、NYに行った時に思ったのが
『本屋』
『CD屋』
『レンタルDVD』
の店が全くなかった事に軽く驚いた。
皆、ネットでダウンロードして観るらしい。
確かに延滞しているうえにバックレられるリスクを考えるとレンタルDVD店が成立する日本は、『国民性』なのだろう。
光回線やADSL回線が貧弱な時代だったので、顧客の自宅の配線図をアスキーアートのようにログに残していた。
その為、私のタイピング速度は桁外れに早かった。
海外での初ライブが決まりかけており、丁度、鬱々と仕事をしていた時期だった。
県外に行くのも嫌な私が国境を越えるなんて!と憂鬱になっていた。
そこへ。
日本語が何とか話せる、と言う感じの人が電話してきた。内容は
「料金はどうなっているのか?」
「無料期間はまだ残っているのか?」
だった。
検索すると中近東系の人だった。
無料期間は過ぎている事と、料金は3万円近い事を伝える。
「28984円です」
「・・・?」
「ニーハチ、キューハチ、ヨン、円です」
と言うと、流石に事の自体を把握したらしく電話の向こうで顔面蒼白になっている。
私も「そもそも3万近くも映画を買うって、どうなっているんだ?」
と思ったら全て
『アダルトコンテンツ』
だった。
やはり中近東と言う戒律が厳しい国から来た男性にすれば日本のAVは
「死ぬほどCOOOOOLなJAPAN」
なんだろうか。
もう、無茶苦茶に買っていた。全タイトルを買ったんじゃないか?って言う有様。
中でも笑いそうになったのはタイトルである。大抵は「熟女が云々」とか内容がタイトルだったりするのだが、内容を詳細に書きすぎてしまい、其れをタイトルにしてしまっていて、しかし、内容が滑稽無糖になっている作品である。
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『「パパ、ぎょう虫検査手伝って!」登校前、ぎょう虫検査を一人じゃ出来ない●学生の娘は、お母さんがいないから、父親である私の目の前で四つん這いになりお尻を丸出しにして恥ずかしそうに待っている。娘にもかかわらずその姿を見て勃起してしまった私は・・・」
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http://www.dmm.co.jp/mono/dvd/-/detail/=/cid=1hunt755/
此れがタイトルなのである。
「これ、作品の内容そのものじゃん!」
なのだが、其れ以前に『ぎょう虫検査』って沖縄を除いて殆ど実施していない。
って言うか、父親に頼むか?
って言うか、タイトルが長すぎないか?
例えば私が何かの都合で、この作品を入手せざるを得ない事態になり、TUTAYAとかのAVコーナーで、この作品を探す事になったとする。
大型店のため品揃えは良いのだが、作品が沢山ありすぎて探せない。
致し方がなく店舗のスタッフに聴く。
「作品名を教えてください」
と言われて私は
「作品名ですか・・・。えーっと、『「パパ、ぎょう虫検査手伝って!」登校前、ぎょう虫検査を一人じゃ出来ない●学生の娘は、お母さんがいないから、父親である私の目の前で四つん這いになりお尻を丸出しにして恥ずかしそうに待っている。娘にもかかわらずその姿を見て勃起してしまった私は・・・』です」
「え?パパ、ですよね。『パパはなんでも知っている』と言う作品が御座いますが、此方でよろしいですか?」
「いや、あの」
「はい?」
「それって大昔のアメリカのテレビドラマですよね?探しているのはドラマじゃないんですよ」
「失礼しました。では、再度、作品名をお伺い出来ますか?」
大抵、こう言う事になるのは店舗スタッフが女性の場合だ。
私にも羞恥心はある。
「・・・はい・・・。えーっと、『「パパ、ぎょう虫検査手伝って!」登校前、ぎょう虫検査を一人じゃ出来ない●学生の娘は、お母さんがいないから、父親である私の目の前で四つん這いになりお尻を丸出しにして恥ずかしそうに待っている。娘にもかかわらずその姿を見て勃起してしまった私は・・・』です」
「作品タイトルは『パパ、海中探査を手伝って』で宜しいでしょうか?」
「・・・・あの、『海中探査』ではなく『ぎょう虫検査』です」
「えーっと、『パパはぎょう虫検査実施中』でしたっけ?」
「いえ!『パパ!ぎょう虫検査を手伝って』です」
「ぎょう虫についてのビデオですか?」
「いや、あの・・・成人向けの作品なんですが・・・」
「其れですとBBCのドキュメンタリー映像で『人に寄生する生き物』がありますが、お探しの作品は此方で宜しいですか?」
「いや、成人向けと言ってもBBCじゃないんですよ!」
「・・・と言いますと?」
「いや、ですから・・・男性向けの・・・」
「・・・そうですか」
「はい・・・」
「失礼しました。では、再度、作品名をお伺い出来ますか?」
「・・・え!もう一度、言うんですか?」
「はい。作品名で私どもも管理しておりますので・・・」
「『「パパ、ぎょう虫検査手伝って!」登校前、ぎょう虫検査を一人じゃ出来ない●学生の娘は、お母さんがいないから、父親である私の目の前で四つん這いになりお尻を丸出しにして恥ずかしそうに待っている。娘にもかかわらずその姿を見て勃起してしまった私は・・・』です」
「あの、お客様。再度、ゆっくりと言って頂けますか?タイトル名が長いので・・・」
私の後ろにはカップルや、子供が並んでいるののである。
彼等の手には『アナと雪の女王』だとか『妖怪ウォッチ』が握られているのである。
ぎょう虫検査だとか、お尻を丸出しだとか、勃起など言っているのは私だけだ。
「えーっと、お客様。お声が小さいのでもう少し大きな声で仰って頂けますか?」
人の目を気にして小声で言っていたのが裏目に出てしまい、再度、作品タイトルを言う羽目になる。
後ろで子供が「ねー、ぎょう虫検査とか勃起ってなーに?」と母親に尋ねている。
早稲田大学のカップルがクスクスと笑っている。早稲田のカップルの手には『余命一ヶ月の花嫁』とか『グーグーだって猫である』なんぞを借りようとしているのである。
私は心臓移植を控えた妹の為に『「パパ、ぎょう虫検査手伝って!」登校前、ぎょう虫検査を一人じゃ出来ない●学生の娘は、お母さんがいないから、父親である私の目の前で四つん這いになりお尻を丸出しにして恥ずかしそうに待っている。娘にもかかわらずその姿を見て勃起してしまった私は・・・」なんて言う作品を入手しなくてはならないのである。
この作品がなければ妹の心臓移植が上手くいかないのだ。
背には腹は変えられないが、一般論として自殺すべき羞恥心が私を襲う。
TUTAYAは五月蝿いBGMが流れている。
「あの、お客様。大変、申し訳御座いませんが再度、作品名をお伺いできますか?」
私は嫌な汗をかきながら、TUTAYAのカウンターで何度も何度も上記の作品タイトルを連呼しているのである。
此れが悲劇でなくてなんであろう。
そんな事を思った08年。
00年代は遠くになりにけり。
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