翌日はYOGIGAギャラリーでライブ。
《キム・ヨンジン個展“音を描く”祝賀公演》
5月17日(金) pm8:30 ソウル弘大 弘大 Yogiga Gallery Tel.02-3141-2603
http://yogiga.com
出演:KO.DO.NA.(from 日本)、キム・ヨンジン・バンド(キム・ヨンジンb,vo+佐藤行衛g+伊藤孝喜ds)
である。ヨンジン先生とは前日に少しだけ会った。
ハグし合うと枯れ木のような身体(其れを友人に話すと「老け専の私には溜まらない男だねぇ」だそうで)。
その日は何故か朝5時くらいに中途覚醒、って感じで目が覚めた。するとゲストハウスの男の子と、女の子が暗闇の中で愛を語り合っているのである。
渡韓前に『トラベル韓国語』みたいなモノを買ったのだが発音が難しすぎて
「これは人が使う言語なのか?」
「こんな言語で愛を語り合えると言うのか!」
と思っていたのだが、実際に私の直ぐ傍で語り合っている。
昨晩、寝ていると突然、朝6時に目が覚めた。ゲストハウスのメンバーは朝まで呑んでいて(打ち合せ兼飲み会?)朝方に寝る予定だったらしいが、だが寝ている私の横で
キスの音
甘い声
発情した空気
ネッキング
ペッティング
濡れた囁き
仄かな緊張感
が伝わってくる。
二人は若い。25歳らしい。
「これでSEX始められたらかなわ無いなぁ。」
実は私はトイレに行きたかったのである。
若き肉欲を横にトイレに行く程、野暮にはなりたくない。
劇団時代、合宿先でセックスしているところを目撃された時の恥ずかしさったらなかったもんである(お陰で劇団をクビになったが)
困っていると、一応、二人はSEXはしなかった。
彼の方が先に眠ってしまったからである。
「ハングルで愛を語り合う事は可能なのか・・・」と思った。確かその晩は何故か朝まで呑んでいたから『酒の勢い』って言うか、そんな感じなんだろうけど。
ゲストハウスに常時、寝泊りしている位だから多分、皆、裕福な家の子なんだろう。普通、例えば貧しい農村の家の次男とかで、
「おら、こんな村嫌だ!」
「ソウル駅でベコ(牛)引くだっぺ!」
と言う事でゲストハウスに住み込む、ってのは考え難い。
で、二人は25歳。
だからヨン君がヨンジュちゃんとHしちゃうと、もう一人の子が『アブレちゃう』ワケである。その辺の兼ね合いなんだろうか。
または『儒教的精神』なんだろうか。
其れを友人女性に聞くと「韓国では『婚前交渉はNO!』と言う人は一定数いるそうで。それなのかも?」らしい。
しかし、ヨン君に聞くと「女友達も沢山いるし、不自由はしないけども恋愛関係にはならない」と言う。
で、今、思い出したのだが考えてみると3人は共同生活なのである。
思えば
連合赤軍にしろオウム真理教にしろ『恋愛』ってのは、どうしても共同生活の中でネックになってくるワケで、それについて打開策を唯一、日本国内で出したのは『バグワン・ラジニーシ』だけだったのかも。あそこは昔は洞窟の中で集団セックスなどやっていたんだそうで。今はやってないけども入信するにあたって『性病検査』が必須項目なんだとか。
・・・と思ってハンジュ氏に「ゲストハウス内恋愛は禁止なの?」と聞くと「んなぁ事ぁない」らしい。
因みに。
二人が発情した声と、触れ合う唇、濡れた空気の際、私はトイレに行きたくて仕方が無かった。「之でセックスされたら厳しいな」と思っていたのだが、何事も起こらなかったのでヨン君が寝て30分後にトイレに行ったらヨンジュちゃんが、まだ台所にいた。その時に
「ギク!」
「げ!起きていたのか!」
と言う表情をしていたんだよな。あの表情は笑いそうになった。
再度、寝て、起きたら11時に起きて、用意して堂山駅へ向かう。
駅の出口でYukieさんとアカイさんと待合せていたから。
行くとYukieさんが居ない。病院に行っていて少し遅れるらしい。実は私もYukieさんも、最終的にはアカイさんもコーキさんも風邪を引いてしまったのである。
アカイさんも具合が悪いらしく薬局で薬を買っていた。
「韓国の薬は効きが良い」
とアカイさん。私は実は解熱剤とエスタック。Yukieさんは満身創痍・・・・Yukieさんに関しては365日中、360日は満身創痍なんだが・・・である。
町を歩く人が半袖で歩いている、と言うのにジャケットを着ているのは私達くらいなもんだ。
会場に向かい、前日の反省を生かしてエフェクターはセッティングしっぱなしにしておいた。
ヨンジン先生のリハの演奏を聴いてビックリした。ウネウネとしたベースとウネウネとしたボイス(エフェクトを掛けているのでボーカルと言うよりボイスに近い音色)。
「こりゃ、韓国のマイルス・デイビスじゃん!」
と思った。もう、キーとか無茶苦茶な気がする。ベースはフレットレスだし。一応、全曲、Eマイナーなんだが呪術的なサウンドと全曲1コードって言うのが、それだけでご飯、どんぶりで三杯である。
Yukieさんとコーキさんがバックを勤めるのだが超絶技巧のYukieさんですら、ケッタイナなサウンドに難儀していて(体調不良もあったけど)、空き時間に練習していたほどである。
帰国してYOUTUBEで発見したんだけどもノイズ・パフォーマンスも行う人らしい。年齢的に韓国の最初のヒッピーって感じなんだろうか。
後で聞くと70年代に女性ボーカルにブルース・バンドでデビュー。ブルースって言うか日本で言うとカルメン・マキ&OZとか、ジャニス・ジョップリンみたいなバンドだろうか。
その後はスタジオ・ミュージシャンとして活動だったんだとか。
空き時間にちょっとだけヨンジン先生、アカイさん、私でセッション。
オーナーのハンジュ氏にも挨拶。もっと年配の人かと思ったら意外と若くて驚いた。
(何故かご機嫌にギターを弾き捲くっているハンジュ氏)
このハンジュ氏は別の人に言わせると
「ヒッピーでもあり」
「パンクスでもあり」
「厄介で喧嘩っぱやい人」
らしいんだが、私は馬が会う。何故か一発で好きになった。厄介で面倒な人が私は好きなんだと思う。
あ、その前に「昼飯を食おう」となって、アカイさん、Yukieさん、私でタクシーに乗り中華料理店街に行く。
韓国で中華料理?と思ったが、日本の中華料理店に行くと『中華』を名乗っているにも関わらず『オムライス』『豚の生姜焼き』等があるように韓国風に可也、大胆にアレンジされているらしい。
演奏前は辛いモノが食べれないので(唇に刺激を与えると演奏に響く)ジャージャー麺にした。頼んでみてビックリしたのだが全然違う。
(韓国のジャージャー面)
そしてYukieさんは『チャンポン』を頼んだのだが、私が知っている『チャンポン』とは似ても似つかないモノが出てくる。
(韓国風ちゃんぽん)
(豪快に食べるYukieさん)
「豪快な料理を豪快に食う!之が韓国食の食べ方なんだ」
らしい。確かに豪快な料理だった。ジャージャー麺は辛くは無かったが可也、好みが分かれる料理だと思う。不味くは無いのだが、正に「未知の味」と言うか。
しかし、不思議なのは私は実は
『エビ、イカ、タコ、シャコ』
が食べれない。イカはギリギリでOKなんだがエビに関しては言語道断なんである。食べると吐き気がする。アレルギーってワケじゃないんだがエビの『風味』がどうしても身体が受け付けない。
しかし韓国ではスイスイと食べれる。何故なのか分からないが美味しい。
で、会場で待つ事暫し。
お客さんも来て最初に私が演奏。前日は使わなかった・・・と言うか当初は使う予定ではなかった『プリペアド・オルゴール』からスタート。
で、普段どおりにエフェクターも動いたし、綺麗に出来た。
最後は爆音で演奏。
終わってからヨンジン先生と仲が良さそうな紳士から「ワンダフル・トランペット!」と褒められた。ちょっと、嬉しい。
で、ヨンジン先生とYukieさん、コーキさんユニットで演奏。
矢張り呪術歌だよなぁ、と思った。ベース、ドラム、ギターと言う編成だからロック的なアプローチなんだが、どうしても呪術的な感じがする。
エフェクターを繋いでいるが、其れだけが呪術的サウンドと言うワケでもない。
何とか無事に韓国公演をキチンと出来て良かった・・・とマッコリを呑む。勝利の美酒。
Yukieさんとコーキさん、アカイさんは明日の朝が早い、と言う事で早々に帰宅。
で、現地で友人になった森さんも来てくれていたので雑談なんぞをして、一緒に帰った。
「何か食べます?」
となったので、二人で食べる。
YOGIGA周辺って『若者お洒落スポット』なんである。騒がしい代官山、と言うか。下北沢と、代官山と渋谷と池袋と高円寺がごちゃ混ぜになったような感じ。
『パスタ』
とか、洋食系の店が多い。
「韓国でパスタとはねぇ・・・」
「皆、日々、辛い料理を汗だくで食べているかと思っていたんですけども」
「ねぇ。あの店(ちょっとお洒落なカフェ)で『じゃあ、犬肉2人前!』とか言ったら、殴られそうな勢いですよね」
「あ、でも、こう言う店で皆、何を食べてんだろう?と思って前日に観察していたんですけどもね?カフェテリアみたいな、テラスのある店で女の子二人がフライドポテトと、フライドチキンがテーブルにあるんですよ。でも、手前には矢張り『キムチ』があって」
「キムチは欠かせないんですかねぇ。」
「ナニハトモアレ、『キムチ』に始まり『キムチ』に終わるのかも」
途中で森さんが「あ、そうそう。この近所で凄い店を見つけたんですよ!」と言うので着いていく。
其れが之。
この建物は2個あって、一方は名前が『京都』、一方が『東京』と言う名前なのである。地震とは無関係な韓国だからこそ作れる建築と言うか、殆ど木の棒を立てただけ、みたいな構造である。日本だったら建築法違法で音速で処罰になってしまいそうな感じである。
で、『京都』では何を食べるのか知らないが『東京』には看板に『美味しい東京焼き』と書いている。
「東京特有の焼き料理って何かありましたっけ?」
「其処なんですよね~w。分からん!」
そう言えばNYにも『神』と言う名前の店があったが、そんな感じなんだろうか。遠くて近い国、韓国・・・・。
最終的に二人で『豚焼肉』の店に入って食べる。
やはり美味い。兎に角、美味い。
豚とか牛とか捌かせたら韓国人の右に出る民族はいないのではないだろうか。
不思議なのは普通、焼肉と言うかホルモンとか豚とか、そう言う店って日本だとオッサンとかサラリーマンが支配しているが、韓国では普通に若い女の子(セクシーな格好)とか、フォーマルな格好をした男性がいたりするのである。
韓国の男性は流行なのか、韓流アイドルみたいなマッシュルームカットと言うか、前髪を下ろして横に流す、みたいな髪型が多い。
普通の子から、肉屋のアンちゃんまで、似たような髪形なのである。こんな感じの。
こう言う感じの男性も豪快に豚を食っている。豚肉はドカン!と豪快に出る。其れをハサミで切って分けてキムチだとか、ご飯だとかをレタスのような葉っぱに撒きつけて食べる。美味である。
森さんもそんなに飲む人じゃないので水で乾杯。
帰りはタクシーでウルルハウスに戻る。
ウルルハウスに戻るとセラムと言うフランス人女性が居た。
お互い自己紹介をする。
と言うか私はゲストハウスを利用するのは初めてだったのだが、普通は「こんにちは」みたいな感じで皆に自己紹介するんだろうか。
どうも話を聴くと私が泊まった初日の朝にヨン君が
「彼が昨日から泊まる事になったKO.DO.NAだよ」と皆に紹介したらしいのだが、私は寝ている。
なので、皆で私の寝顔を「へー」と観ていたらしい。
で、このフランス人女性は韓国の伝統舞踊を学んでいるらしい。2日前か1日前か『仏様の日』ってのがあって、坊さん達がパワースポット的な山を念仏を唱えながら登る。で、彼女も其れにくっ付いて踊りながら登ったらしいのだが
「登りで45分もあって流石に疲れた」
と言っていた。お互い同い年。
「おー、今日は珍しく10時に帰宅できたなぁ。ゆっくり休もう」
と思ったら、この女性が
政治家の如く、ベランベランとよく喋るんだな!!!!
バックパッカーでもあるので、日本にも何度も来ているんだそうで。で、彼是と永久機関の如く喋る、喋る。
フランス人ってのは大抵は自己主張が激しい。爆発した原発の如く『自分の事だけ』を延々と話す。
「喋るMOX燃料」
と言うか。YOUTUBEで彼女のダンスを見せられる。
「もう一人のダンサーは私のパートナーだった人なの。でも、最近、別れたんだけど良い友人」
「この公演はレクイエムなの」
だとか彼是と言う。
「Rちゃん、Sさん、Oさん、皆、日本最高のミュージシャンよ!」
と言う。
「はぁ?アホか。S氏が日本最大?んなワケねぇだろ。日本最大は池上秀夫って決まってんだよ。糞が。RICOちゃん?誰だよ。ピアニストだったら新井陽子!。 ってか俺はお前の自慢話を聴く為に帰ってきたワケじゃねぇぜ」
と言いたくなったが事は荒立てない方が無難だ。
「hahahaha....yes,yes」
とお茶を濁す。
「do you sumoke?」
と言うので一緒に煙草を吸う。
「どうしてフランスで活動しないの?フランスの方が面白そうだけど」
と聴くと
「フランスなんて詰まらないわ」
と言う。
「YOGIGAで演奏するの?」
「ええ」
と言うと彼女は、どちらかと言えば前衛パフォーマンスよりもスピリチュアルなモノへの興味があるらしく、今はYOGIGAとは距離をとっている、みたいな事を言う。
彼女が用意してくれたお酒は美味しいんだけどねぇ。
で、煙草(パイプ)を吸っている間も『喋る福島第一原子力発電所』は止まらない。なので、空きを見て
「ソーリー。I wont bas」
と言って逃げた。
シャワーを浴びてベットでクッキーを食べながらipadを弄っていると、ちょっとした夜食を出してくれた。
で、翌朝はコーヒーを淹れてくれた。彼女のコーヒーは美味しい。
「今日から釜山に行くの。8日間ほどね。また会いましょう!次は東京で!」
とハグし合って終わり。6月に中野のスペースで彼女は踊るらしい。行くかどうかは全く未定である。
「鬱陶しい人だったなぁ」
と思うが、憎めない。まぁ、大抵の人間ってのは鬱陶しく、そして憎めないモノである。
そう言えば煙草を吸っていたらヨン君とヨンジュちゃんも来た。で、彼女は『お姉さん的』ポジションらしい。年齢が10歳も違うんだもんなぁ。
あと、ヨン君とヨンジュちゃんは偶然、その日の私のパフォーマンスを見ていたらしい。
「KO.DO.NA!今日の演奏、凄かった!」
と言われる。照れてしまい「サンキュー」とだけ言う。
で、寝たのは結局、夜中の3時になった。その日も泥のように眠る。
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