2016年7月25日月曜日

長男の代紋

老人介護施設への慰問公演が終わってからヘトヘトになった。 


思えば風邪だったのだが。 


で、その夜は遂に 




『姉の夫に会う』 



である。姉の夫とは会った事がなく、しかし『事後報告』と言う代々続く、名家:KO.DO.NA』にはあってはならない事なのである!!! 






祖父は職業軍人として大陸を走り回り、尋常小学校卒(今で言えば中学卒業)なのに軍曹にまで上り詰めた人。 

ついでに言えば祖母の父は西南戦争で走り回った有志である!!!

父は企業家。 

母は介護事業経営者(九州と言う封建的な土地で女性経営者は数少ない) 

姉は名門西南女学院(1922年設立) 

私は私立豊国学園高等学校(1912年設立) 

妹は中卒。 


例え私の高校の偏差値が30台だったとしても、田川市の泥に塗れた血を入れるワケには・・・俺の目が黒いうちに許す事ば、出来んでごわす!!! 


しかし母親が 

「一度、挨拶はしなきゃならないでしょ?」 

としつこく言う。 



玄界灘の荒波を受けて育った九州男児だぞ? 

田川市なんて地図で見ても陸地じゃないか! 




海の男の恐ろしさを思い知らせてやる!!! 


そんなワケでシャツにアイロンをかけ、ループ・タイを装着し、髪を整え、顔を洗い、料亭に向かう。 



(厳しい顔の私) 






(料亭)

(料亭)




料亭に到着したら姉夫婦が同じくらいに到着していた。一緒に行ったのでは意味がないので、遅れていく。 

母と行くのだが「早くしなさい!」と言われるので取りあえず煙草を一服。 

中々、私が来ないので母親が迎えに来て再度、一服。 

で、部屋を案内されて場所は分かったのでトイレへ。 



そんなワケで15分くらい遅れて部屋へ。 



大御所っつーのは遅れていくものである。私が好きだった裸のラリーズも遅かったらしいし。 



で、 

「どうも」 

「あ・・・はい・・・」 

「カー君、ちゃんと挨拶しなさい!」 

「どーも」 

其処へ姉が 

「えーっと、姉ちゃんの旦那さんのT君でーす」 


と言う。なんで本人が自己紹介しねぇんだよ。糞田舎者がぁ!お前は市民かもしれないが俺は『都民』だぞ?! 


「あ、Tと申します・・・!」 

「・・・黒木一隆です」 

「初めまして・・・」 

「っふん!」 

と黒木家の威光を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なのか? 


しかし、段々と「頑固な私」を演じるのが面白くなってきて、自分で自分に笑う。 

少し話す。 


「音楽はどんなのを聴くんですか?私も姉も音楽家なので。」 


「あ!はい!音楽は・・・サザンオールスターズとかですね!」 

此れは練習してきたらしい。 

「サザンですか。あとは?」 

「あとは尾崎豊とかです」 

「ふーん」 

「ですけん、『J‐POP』とかですね」 

「・・・サザンと尾崎で『J-POP』ですか。」 

「はい」 

此処で「未だ!」と思った。KO.DO.NA一族の威光を示さなくては!!!!

「あのですね。『J-POP』と言うのは90年代中頃からのミスターチルドレン以降の音楽を指すんですよ。ですからサザンオールスターズも尾崎豊も『日本のロック』、または『歌謡曲』です。最大の違いは音作りです。ミックスダウンからマスタリングまで全く違うし、コードワークも違いますので。」 

「・・・あ、あ、はい・・・」 


と威圧していたのだが、此処でまた『甥』である。 


これまた可愛くて仕方がない。此ればかりは、どーしよーもない。 


甥っこ(9カ月)がウニャウニュと言うので母親(彼にすれば祖母だ)のもとへ。 










私の母親は典型的な毒親だったが、孫は矢張り可愛い。 


暫く母親のひざ元に居たが今度は私。可愛い。 












眠たいらしく、良く泣く。歌うと少し泣き止む。 

私のループタイを噛んだり、ヨダレを擦り付けたり。アイスクリームを少し貰って美味しそうに食べたり。 


食べる→泣く→母乳→食べる→泣く→あやす→食べる→泣く→母乳→あやす→脱糞か失禁 


「お前は究極の消費者だねぇ」 

とマルクス主義の私は言う。 



子供の前では大人は無力だ。 










「いやー、でも『尾崎豊』と言って否定しないから楽です。理恵さん(姉)は『尾崎とか好かん!!』と一刀両断ですから」 
「鼻歌を歌っていても駄目だしがあるんですよ・・・。音程が違うとか」 
「ですけん、最近は理恵さんが作った曲を歌わされとるんですよ」 


と中々、大変らしい。 

あとで聴くと『酵素玄米』なんぞを食べさせられているらしい。 


母曰く 

「姉色に染められている」 

だそうで。 


夫と同席している姉を見ると、姉は夫には厳しい態度。思えば姉は交際する男性には常に厳しい態度である。 

交際するまでは声を半音上げる、と言う乙女なのだが一発やると厳くなる。 


『釣った魚にはエサはやらん!』 


と言う事なんだろうか。だが、子供は可愛い、可愛いと言う。 

「可愛いぃ〜。天才やと思うわ」 

と言う。だが、妹も子供がいるが 

「チカの子供の方が遥かに可愛いし、天才」 

と言う。聴くと母親も幼い頃の私を 

「天才」 

と言っていたらしい。 


母親と言う生き物はそう言うモノらしい。 


夫とはあまり話さなかったが、子供は抱っこしっ放し。駄目叔父。 


大人は常に無力だ。



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