2017年2月15日水曜日

My Funny Valentine

バレンタインだったらしい。





そんな私の夕食は牡蠣とほうれん草。





毎年、中学生の時のバレンタインを思い出す。
中学1年製の時。
仲が良い女子が居た。
九州の学校なので荒れた処があったが、私は余り気にならず。
で、その女子はルックスは悪かったが良い話し相手で、私の話を何時も笑いながら聴いてくれていた。
で、私も彼女を楽しませるために必死で喋っていた気がする。
で、まだ12歳か13歳。



そんな折。
バレンタインと言うものが来た。毎年、親や姉妹に貰うモノだったが当日は何故か父と私だけだった。
其処へ、その女子が来た。
ベルがなって父親が出たら、同級生なので
「か・・・カズタカ!女の子が来とるぞ!」
と父親も驚いている。
確か田北と言う名前だった(はず)。
その子が友人を連れて、私にチョコレートを渡してきた。ラッピングもされている。



「はい!」

って感じでぶっきらぼうに渡してきた。何故か、その子は何時もの田北と違う。気押される感じと言うか。
いつも笑っている田北と違う。
意味がわからず

「これ・・・義理チョコだよね・・・?」

と聴いたら、田北が物凄い目つきで

「違うよ!あんたの事、好きよ!」

と怒鳴られた。





思えば、その数週間前に机にラブレターが入っていた事があった。

『好きな人はいますか?』
『どんな女性が好きですか?』

とか、そう言う質問形式で、誰から届いたのか分からないし、どうすれば良いのか分からなかったので担任の教師に

「こんなのが届いたんですけど、どうすれば良いんでしょう」

と渡したら、

「・・・まぁ、あれだ。そういう事もあるから」

と何故か没収された。
で、教室に戻ったら田北と、田北の友人が

「ねぇ、ねぇ、手紙が入っとったんやろ?どーしたん?」

と嬉しそうに言う。

「分からん・・・。やけ、先生に渡した」

と言ったら

「・・・っふ。あんたって馬鹿ね」

と言われた。
その時の表情は私と同世代とは思えなほど大人っぽかった。
少し驚いた。




チョコレートを渡されて
「違うよ!あんたの事、好きよ!」
と怒鳴られて、愕然とした。で、口から出た言葉は

「うるさい、馬鹿!」

だった。




まだ、13歳なのである。女系家族育ちなのである。
だから、と言うワケじゃないんだろうけども自分が『異性の対象』となっていた事に驚いたし、驚愕したし、怖かったし、違和感だった。
田北と言う同級生の女子の事を異性として見ていなかったか?って言えば、彼女を笑わせるために、楽しませるために、思えば田北とばかり話していたから、何処か心はあったのかも知れないけども、自分では分からなかった。


もう少し年齢を重ねていれば違ったのかも知れないが、自分が『男性』である、少なくとも周囲からは『男性』として見られている事に強烈な違和感と、恐怖感があった。

そのチョコレートは貰ったは良いが、どうすれば良いのか分からなくて、食べる事も出来ないし、捨てるワケにも行かないし・・・と思い、家にあった『壺』の中に居れておいた。


翌日、学校に行ったら田北が

「あんた、あのチョコ、食べた?」

と聴く。もう、恥ずかしくて恥ずかしくて、

「捨てた」

と言ったら

「なーん!(何故だ!)800円もしたのに!」

と怒鳴られた。
その日から田北と話すことはなくなった。



それから3日後。
リビングで姉と母が、私が貰ったチョコをボリボリと食べている。
「あ!俺が貰った・・・」
「なんね?これ、あんたのね?変な処にあるけん、食べてしもうたわ。これ、美味しいわぁー」
と母と姉に食べられた。

田北とは、その後、班が変わったし、クラス替えもあって話すことは皆無になった。
今はどーしてんのかねぇと思うが。
嗚呼、誰が故郷を想わざる。


0 件のコメント:

コメントを投稿