タクシーは1kmごとに料金があがる上に何もかもが高額な国コペンハーゲンなのでチョット、ドキドキしながら乗車。
38DDKで済んだ。
会場に入ると既にビデオのセッティングが行われていた。VJと言うか。
TOMMYは緊張気味。
ビデオ・アーティストの人と挨拶。と言うか当日は行って演奏すれば良い、位にしか考えていなかったのでVJがいる、と言うのも知らなかった。
Asia Hauseは歴史的建造物で、日本とコペンハーゲンが初めて貿易を始めた場所なんだとか。
何しろ100年以上、昔の話なので当時は蒸気船だ。その頃の日本は亜細亜最大の軍事国家でもあり経済国家でもあり・・・なんだろう。
会場を見て回ると当時の交信機器とか写真が残っている。日本人、小せぇー。
だから博物館的要素もあり、今では地下に旅行代理店。2階はレストランにもなりまっせ・・・みたいな感じ。
このイベント自体が前回の『サクラ・フェスティバル』の『夜の部』と言う感じで、サクラ・フェスの主催は旅行代理店なんだが、その旅行代理店との共同企画。
旅行代理店と言うか『コペンハーゲン⇔アジア』に特化した感じの代理店らしい。
施設を見るが確かに立派。
(見とれる韓国系デンマーク人氏。私も同じように見とれた)
で、パタパタとしているTOMMYが「サウンドチェックをしよう」と言うので機材を引っ張り出して、セッティング。
「眩しくないか?」
と聞かれたので
「俯いて演奏するから大丈夫だよ」と返答。
サウンド・チェックの前にTOMMYがPA装置を持ってきた。だが通常と違って2WEYで、足元にセッティング。
「君のサウンドは中低音がメインだから、之が一番、良いだろう」
との事。之は私も考えた事すらなかったが天才的だと思った。
実際、ライブでは最高のサウンドになったから。
TOMMYはやっぱり良い音を作る。
TOMYYとしても、このイベントが彼の最大規模らしく気合いが入っている。何しろ
①Asia Hauseで「フル・コンサート」は初めて
②『サクラ・フェス』の夜の『部』で私は日本代表
なのである。フル・コンサートは初!なので建物の管理者がギャーギャーと言っていた。デンマーク語なので中身は分からないが多分
「建物に傷を付けるなよ!」
「大丈夫なのか!」
とかだと思う。ニュアンス的に。コンサートと言うか演奏した過去はあるが、それはコンベンションとか商工会議での『余興』として地元のバンドがチョットだけ演奏する、と言う程度。
「コンサート」
として行うのは初めてである。プロジェクターには
『Sakura Sound Festival concert#1』
と書かれている。
と言うか。
私は何もかも知らなかったのである。こう言う風に『日本代表』みたいな感じで演奏と言う事も、このハコが演奏会場となるの事が初めてである事も。
知った時は顔面蒼白である。
しかも、事前にナレーションと言うか司会まである。トーマス・ボストン氏、と言う詩人であり、ライター。
デンマーク人らしく体格が良く、デカい。で、イケメン。アブサンを好んで呑んでおり、当日もポケットにアブサンを入れて本番前まで呑んでいた。
ライブ会場ではないのでバーカウンターも全て手作り。と言っても北欧センスなのか綺麗なバーカウンターが出来あがる。
控室を案内されて、私とボストン氏。
私は緊張しっぱなしで演奏前に久し振りに『野口体操』だとか『ヨガ』なんぞをやる始末。
で、客足は・・・と言うと、こんな感じ。
最初はガラガラだったが段々と集まる。入場料は100デンマーククローネ。大体、500円位かな。
とは言え唖然としたのは過去2回のライブのオーディエンスは「ノイズ」とか「現代音楽」とか「アヴァンギャルド」に対して
『分かっている』
と言うか、そう言う音楽を好む人達だった。少数ながらもそう言う客層だった。今回は
『一般的なオーディエンス』
なのである。そもそも『Sakura Festival』はメイン・ステージでは盆踊りとか、雅楽とか、合気道の実演とかしているのである。
で、夜になったら行き成り『現代音楽』と言うか『電子音楽』と言うのは
「大丈夫なのか?大丈夫なのか?TOMMY!来ているのはホンっとフツーの人達ばかりだ。だが、俺の音楽は普通じゃない!大丈夫なのか?!」
とTOMMYに聴く
「だーじょーぶ、だーじょーぶ」
みたいにノンシャランとしたTOMMY。
「死ぬほど緊張するよ・・・」
と言うと
「だーじょーぶ、だーいじょーぶ」
なTOMMY。
そう言えば現地で名刺代わりに・・・とCDRを配ろうとしたのだが、TOMMYが「いや、値段をつけよう」と言うので50DDKになった。
此方は死ぬほど緊張しているが、旅行代理店とかの人は「何が起きるの?ワクワク!」と言う按配。
そう言えば
「トミー、エフェクターを置く『台』が欲しい」
と言ったら
「さっき居たストライプのワンピース着たキャッキャッキャとか言っている女がいただろ?そいつに聞いてー」
と言う。思えばfacebookにTOMMYとの写真をUPしたら友人が
「何処となくキャラが被っている」
と書いていた。確かに他人を見ている気がしない。
で、セッティング・・・あ、そうだ。その前にACアダプターが壊れていたんだ。リハーサルスタートの際にエフェクターが動かない。あれ?と思い焦ったが一瞬、動いた。
だが、まだ動かない。
原因としては
1:ACアダプター
2:延長ケーブル
なんだが、ACアダプターを買いに行く時間はない。どうしよう・・・どうしよう・・・と思ったら電池駆動と言う手があった。
トミーに9V電池を借りて何とかなった。好い加減にBOSS社は「頑丈で堅牢なACアダプター」を作って欲しい。
20時からだったが20時45分にボストン氏が「深呼吸をして下さい。之から行われる演奏はとても小さな音です。沈黙の中に・・・」と言う具合で司会。
「ウェルカム、KO.DO.NA」
と言われて登場。
- プリペアド・オルゴールにちょっと音を足した奴でスタート。
- 電気TPのエチュード
- 雨とバレンタイン
- 鳥の会議
- オータム
- 習作
の6曲。『鳥の会議』はバードコールを使った曲なのだが対外的に妙に受けが良い。
『観客参加型』
と言うのが良いのかも。
観客を参加させるのが大変で、客席に言って『口説く』のである。
「今日はコンサートですよね?」
「ええ」
「でも、観て下さい。ステージにミュージシャンがいない!」
「・・・ええ」
「あ!貴女は楽器を持っているじゃないですか!じゃあ、貴女がミュージシャンだ!」
とステージに引っ張り出す。次に
「こんにちは。ご存知でしたか?ステージにいるのは『イブ』なんですよ。実はあそこは『エデンの園』なんです」
「そうなの?」
「で、ご存知でしたか?貴女は『アダム』である事を。さぁ!エデンへ!イブの元へ!」
とか。そんな事をしていたら小さな子供がいるのを発見。年齢としては恐らく3歳か2歳。母親に
「私はジャクソン5が好きなんですよ・・・。おお!こんな処にジャネット・ジャクソンが!」
と引っ張り出す。上記の写真で丁度、中央が空いているが実は、あそこに女の子がいるのである。
客席に
「皆さん、彼女はジャネット・ジャクソンです!プリーズ!ファンキー!」
と意味不明な事を言って湧かせる。出鱈目英語だろうと何だろうと、意外と盛り上がる。こう言うのはアングラ育ちの強みなんだろうか。
良い音が出来た。
最後の曲では大音量だったので最前列に座っていた子供は怖がって後ろに逃げてしまったが。
と言うか、マウスピースは合わないし連日、呑んでいた為、体調も芳しくなかったし、寒いし(北欧は何時だって寒い)、って割には可也、上等な演奏が出来た気がする。
不思議だ。
終わってからビールを一気呑み。で、ボストン氏が「お疲れ様。素敵だったよ」と何かを勧めてくるのだが呑んでみるとアブサン。
「之はキツいよ!」
「大丈夫、大丈夫」
と言う。CDRは8枚位売れた。此方も「おわったー!」と言う感じで買ってくれた人に
「サンキュー!I wont marry!!!」
と馬鹿げた事を言う。
(CDR買ってくれた人)
勝利に美酒に酔う暇もなく撤収。急いで鞄に機材を詰め込んでタクシーでTOMMYスタジオへ。
デンマークでは車は『贅沢品』って事で税率が凄いらしく、車を所有している人は少数だ。
なのでタクシーで機材を持って帰る。
で、ボストン氏、私、TOMMYでスタジオに機材を運び、漸くフィニッシュ。
何だかアングラ演劇時代みたいだ。
終わって、ボストン氏のアブサンでまたヘベレケに酔う。で、暫し彼是と話す。
帰宅はボストン氏と一緒だったのだが、途中でスケボー少年みたいなのが
「煙草くれない?」
と来た。ボストン氏は吸わない。私が残り数本の『ピース』を渡す。
「之は日本最高のタバコなんだ」
「ホンと?」
「勿論さ!」
スケボー少年はStussyのパーカーを来ていた。こう言う服装は古今東西、変わらないのかも。
ホテルで撃沈。
ってか、初のワンマン・コンサートが海外って、
俺ってどんだけ国内で人気ないねん!
と思った。
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