胃腸の調子が悪い。
仕方がないので今日は『マグネシウム剤』を呑んで仕事。
もう、出るわ出るわ。
「あ!来た!来た!」
と言う時に限って相手が「ちょっと待ってくださいね!」と保留で5分とか地獄だった。
そんなワケで医者に行ってみた。
近所の継医院だが開業が戦前どころか3代続けて医者。今の医者はアメリカ帰りなんだが、正直
ヤブ
である。
で、私の身体を彼是と見る。「打診」とかもやるんだが以前、トントンとしながら
「まぁ、こんなんじゃ判んないんだけどね(笑)」
と言っていたような奴である。
聴診器で身体を彼是と聴き終えて医者は言う。
「どう考えても君は死んでいるね」
「は・・・はぁ?」
「医学的にも科学的にも君は死んでいるんだよ」
「っつ、ってか、あの?」
「だって、心臓は止まっているし、脳波は皆無。此れで『生きています』と言う方がおかしいのではないかね!」
「はぁ?俺の心臓、止まっているんですか?」
「もう、福島第一原発並みに冷温停止状態だよ」
「脳波は?」
「ジョン・ケージの『4分33秒』並みに沈黙だね」
「いや、其処に現代音楽は」
「とにかく、君は死んでいるんだよ」
「・・・。そっか・・・。俺、死んでいるのか・・・」
「ご愁傷様」
「いや、あの、ご愁傷様って本人に言う事じゃないと思うんですけども」
「じゃあ、なんて言えば良いんだい?」
「ってか、じゃあ、何で俺は死んでいるのに動いているんですかね」
「うーん。其処が判らないんだよね。此処は病院であって葬儀会場じゃないしなぁ」
「動いている、って事は生きている、って事だと思うんですよね」
「おかしいねぇ。」
「誤診だと思うんですよね・・・」
「はぁ?誤診!医者の私に歯向かうのかね!」
「いや、そう言うワケじゃなくて、だって・・・」
「今から君に全身麻酔をして臓器を片っ端から取り除いて売り払う事も出来るんだよ!」
「いや、この病院は内科・小児科じゃないですか!」
「設備はある!」
「ちょっと、落ち着いてくださいよ。じゃあ誤診じゃないとすれば私は何で動いているんですか?」
「うーん。近所に『ジャマイカ人』は住んでいないかね?」
「ジャマイカ人?」
「ジャマイカ人」
「住んでませんね」
「おかしいな。可能性として考えられるのは『ヴゥードゥー教』なんだけどね」
「じゃ、私はゾンビ、と」
「そうだね。それしか考えられない」
「いや、ジャマイカ人=ヴゥードゥー教ってワケじゃないでしょうし」
「まぁね。だが、実際、『レゲエ』なんて音楽で踊っているだろ?」
「ジャマイカと言えばレゲエですよね」
「普通のジャマイカ人はあんなアホ臭い音楽は聴かないよ」
「え?そうなんですか?」
「そうだよ!あんな『ウンチャ、ウンチャ』なんてリズムで恍惚としているなんてアホだろ?」
「じゃあ、普通のジャマイカ人は何を聴いているんですか?」
「そりゃクラシックだよ。私がアメリカ留学中に知り合ったジャマイカ人医師は『私の国のヴゥードゥーマジックの音楽が日本の若者を堕落させて申し訳ない。ジャマイカをあんな国とは思わないでくれ』と言っていたもんだ」
「そ・・・そうなんですかね・・・」
「横浜レゲエ祭とあるだろ?」
「ええ。死ぬほどダサい、あれですよね」
「演奏者もリスナーもゾンビだ」
「そうなんですか?」
「年間の自殺者が3万人を知っているかね?」
「はい」
「その自殺者の大半が浮かばれずにゾンビとなって、横浜レゲエ祭に行くんだよ」
「信じがたいですね・・・」
「だって、普通、ダサ過ぎて聴いてられないって!横浜レゲエ祭の連中の音楽とか。ゾンビじゃなかったら何なんだ!」
「そりゃそうですが」
「で、私はどうすりゃ良いんですか?明日も仕事なんで『死体』のままじゃ不味いんですが」
「復活の日を待つしかないね」
「え?また話が急に・・・・」
「聖書に書いているだろ?主が云々かんぬんしたら復活!って」
「まぁ、書いていますけども、いつになるんですか?」
「多分ね、それはローマ法王が一番、聴きたい事だと思うね」
「つまり不明、と」
「そうだね」
「困ったなぁ」
「とりあえず、隣人を愛しながら、全財産を捨てて、その日暮しをするしかないね。あとは主次第だ」
「・・・判りました」
と病院を後にしたのだが、どうも騙されている気がしてならない。
会社で下痢を起こし、同時に胃腸薬を飲み何とか具合は安定。
0 件のコメント:
コメントを投稿