2016年5月3日火曜日

ヤクザとサンジェルマン・デ・プレ

【四代目工藤會 継承式】










何でこんな映像がYOUTUBEにUPされているんだ。

九州地方では(私が知らないだけで)TSUTAYA等で、此のビデオがレンタル出来るんだろうか。

または『みかじめ料』と称して手売りとか。
で、意外と九州人はヤクザが嫌いじゃないから、喜んでいる・・・とか。


「工藤さん!工藤さん!」

「なんね!」

「継承式のビデオば売ってくれんね」

「そんなビデオば売れるワケないやろ!」

「そんな言わんとってっちゃ~。持っとるんやろ?」

「そら、持っとるけど、お前が見てもしゃーないやろ」

「んなぁ事、言わんとってっちゃー。皆、楽しみにしとるんやから」

「もー、お前みたいな奴が多くてうち(組)も在庫不足なんよ。俺の分まで無かけんのぉ」

「来月、継承式のビデオば見て皆で呑むんよ。頼むけんさぁー」

「しゃーないのぉ。もう、此れで俺の分はあと1本やけんのぉ。困るのぉ・・・」

「あんたん処で裏ビデオばいっぱい、買うたやないね」

「ほらぁ、お前が好きなもんやんか」

「あと、みかじめ料も正月ば、多ぉーく払ったでぇ?息子が見たい、見たいっちウルサイんよ~」

「息子は幾つになったんか?」

「来年、高校生よ。もー、親分さんに憧れて、もーピストルば練習しよるけんのぉ。嫁も、寝言でも親分さんの名前言うけん、困っとるとですよ」

「ったく。しゃーないのぉ」

とか。



ビデオを観ると厳格な美意識と言うか美学が徹底されている。とてもスナックに手榴弾を投げ込むとか、警察を殺すとか、カタギを殺すとか、漁業組合のボスと、息子と、孫まで殺すような、アルジャジーラがドキュメンタリー作ってしまうような日本最大の

『テロ組織』

とは思えないが、思えばイラクのテロ組織も美学がある。



このビデオを観ながら連中が抗争をしたり(工藤会が抗争をするのは『手段としての闘争ではなく闘争行動それ自体に価値を見出す』らしい。全く男らしい)、殺したりする最大の理由は実は


「美しくない」


と言う、ボリス・ヴィアン~サンジェルマン・デ・プレ的な理由だったりするんだろうか。

「兄貴!アイツ、俺の顔をギター・エフェクターの『FUZZ FACEそっくり』っち言うんですよ!殺してもエエですか!」

(FUZZ FACE)

「そら、お前が実際にファズフェイスそっくりなんやけん、しゃーないやろ。俺も前から思っとったで」

なんだが、


「兄貴!アイツ、モネとマネの違いも分からんし、家にクリスチャン・ラッセンば飾っとるとですよ!」

「ほうか。ほんやったら此れ(手榴弾)使うて、クリスチャン・ラッセン燃やせや。殺やったれ!」


とか


「漁業組合の連中、『劇団☆新感線』ば見て喜んどるらしいんですわ」

「なんでか!演劇言うたらチェーホフやろ!何でベケットも分からん連中を・・・!殺ったれ!」


とかだったりして・・・と思った。


北九州県立美術館のキュレーターは、毎回、次の展示を工藤会にアドバイスを求めるとか。

「親分さん!親分さん!次の展示、どうしよーか困っとるとですよ」

「ワシが言うた印象派展はどうやったんや?」

「そーら、もう、大好評でしたわ」

「そーやろうなぁ!印象派はワシも好きやけんのぉ」

「で、次なんやけど印象派やなくて、もうチョット、インパクトが欲しいんよ」

「前が印象派やろ?・・・『ダダ』とか『未来派』はどうや」

「何ですか?それ」

「ダダとか未来派は面白いでぇ?やってみぃ。責任はワシがもったる!」

とかで、県立美術館の運営は行われているとか。

想像が膨らむ。



で、組員の日常会話が

「ええか?サトシ(子分)。義理と人情の世界で大切な事は二つだけや。何があっても、ええ女との恋愛。それとニューオリンズの音楽。つまりはデューク・エリントンの音楽や。他のモンは消えてエエ。なんでかっち醜いけんのぉ」

とボリス・ヴィアン的なモノだったり。



因みに日本のフリー・ジャズ~バップ史で北九州市は意外と大きい。

昔、北九州市に『クロンボ』と言うジャズ喫茶と言うかバーがあり、キャバレーが多かった時代のジャズマン達が仕事が終わってから、夜な夜な集まり、新しいモノが大好きな民族なのでムード・ジャズではなく『バップ』『ハードバップ』『フリー・ジャズ』等のセッションを繰り広げていた。
ヤクザはジャズが大好きなので、バップもスウィングも大歓迎だったんだとか。

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