自宅近所にヒッピーが経営する『ガンバラネバー』と言う、糞どーでも良いバーがある。
店の良さなんて皆無に近いのだが始発まで営業している店がある事はあるのだが、安いと言うことがメリットだろうか。
1:薄汚い店内
2:鬱陶しい客
3:糞不味いコーヒー
4:座りにくい椅子(嘗ての店の常連が自作したものらしいのだが座り難くて仕方がない)
5:ドロォンとした店内のムード
友人とお茶をしようと思ったのだが、近くのジョナサンが店内清掃の為、深夜営業をしていなかったので、この店に。
前回、行った時は胡散臭いアフリカ人パーカッションの人とセッションした。
で、オッサンが喧嘩を売ってきたが無視した。
其れが3月3日。
と言うか、何度もこの店には行って演奏もしているのだが(友人等の都合で)、店主の『ミッキーさん』と言うボケ老人兼オーナーは毎回
「あの、お近くなんですか?」
「楽器は何かやっているんですか?」
「お名前は?」
を聴かれる。何しろヒッピーは仮の姿で本質的にはボケ老人。その為か、ショットバーでもないのに会計は、頼んだ都度になる。
それでも、明らかにお釣を忘れるので催促する事になる。
で、友人と行く。
友人と店内のTVを見る。
お互い、TVを見ないので(私の家にはTVがない)TVというモノが何時も新鮮に見える。映像に対して免疫がない、と言うか。
「へー。逃げたシマウマ、死んじゃったのか・・・」
と行っていたら、ミッキーさんが
「音楽、聴きます?」
と言う。
「いや、テレビで良いです」
と友人が言うと
「・・・はっはっは・・・」
と力なく笑う。で、5秒ほどしたら
「あの、音楽はどんなのがお好きですか?」
と言う。
「・・・」
「・・・」
(何を言ってんだ?このオヤジは?)
となっていたらTVのチャンネルを変えてYOUTUBEに変える。
「あ・・あ・・・あ・・・どんなのが好きですか?」
と再度、聴いてくる。友人が
「じゃあ、静かな感じで。レイハラカミとか」
と答えるが、ヒッピーでボケ老人に『レイハラカミ』と言う人名はない。
勝手にジョー・パスのライブ動画を流し始めた。
(だから、テレビで良いって言っただろ!)
と思うが、流れに任せるしかない。
そもそも、私はジョー・パスが良いと思った事はないし、ジャズ・ギターが苦手。
何でジャズ・ギターはいつだってクリーン・トーンなんだ。他のホーンは音を歪ませているんだからジャズ・ギターも歪ませろよ、と思う。
全く好きではないジョー・パスを聞かされながら悶々とすると店主兼ヒッピー兼ボケ老人が話しかけてきた。
「あの、お名前は?」
「KO.DO.NAです」
「そちらの方は?」
「Sです」
「Sさんですか・・・・・・・・・・(暫し無言)・・・・・・・あの、お名前は?」
「KO.DO.NAです」
「スミマセンねえ。二つ同時に聴くと、片方を忘れちゃうんですよね」
「はぁ」
「何か楽器とかされているんですか?」
「トランペットです」
「ジャズですか?」
「ジャズじゃないですね・・・なんでしょうねぇ」
「フリージャズですか?」
「フリージャズは昔、少しやっていましたが」
「毎週、月曜日にね。うちでジャズのジャム・セッションやっているんですよ」
「はぁ」
「来てくださいよ」
「・・・はぁ」
「スタンダードから何でもありなんで。この前は・・・毎週、月曜日にピアノとギターの人でライブなん
でけどね。ピアノの人が体調不良だったか仕事だったか何かで来れなくて、ギターの人だけでね」
「はぁ」
「そのギターの人ってのがロックの奴で」
「ロックですか」
「で、ズーっと『ビートルズ』やってね」
「え?え?え?ロックの奴なのに『ビートルズ』ですか?」
「でねえ、ギターの奴は『高円寺のジミ・ヘンドリックス』なんだけど」
「え?高円寺のジミヘン?」
「そう」
「格好がジミ・ヘンドリックスとか」
「いや、ジミ・ヘンドリックスばっかりやってるんですよ。あと、ビートルズ」
「ジャズのジャム・セッション以前に『高円寺のジミヘン』が面白いですね」
「まぁ・・・」
「ジャズ・ギターだと『ピート・コージー』は好きなんですけどね」
「え?日本人ですか?」
「え・・・あの、マイルス・デイビスのグループにいたギターですけど」
「日本人?」
「アメリカ人です」
「ピートで・・浩二でしょ?日系?」
「・・・いや、英語で『ピート・コージー』です」
「『ピート浩二』じゃなくて?」
『ピート浩二』って浅草辺りのお笑い芸人かよ。
「ピート・コージーです。エレクトリック・マイルスの頃のグループにいたんですけど」
「はぁ~。ピートでコージーねえ・・・。知らないです」
「あ、はぁ・・・」
で、友人が
「あの、テレビが見たいのでテレビに変えてもらえますか?」
と言う。
「あ。は。で」
とリモコンを渡してくるのでチャンネルを変えてテレビを見る。何でこんなうそ寒い店で・・・って
「どんな音楽が好きですか?」
「50年代から70年代までの電子音楽かデレク・ベイリーですね」と言えば良かったのか?
相変わらずウンザリな店だった。
「多分ってか絶対にさ」
と友人に話す。
「俺、この店に何度も行ってんだけど、毎回、自己紹介させられてんだよね。何時だって初対面って言う。だから明日行ったとしても『あの、お名前は?』って言って来ると思うな」
「絶対にそうだよね」
と言いながら帰宅した。
http://tabelog.com/tokyo/A1319/A131904/13164431/
0 件のコメント:
コメントを投稿