『修羅の国:福岡県北九州市』に住む妹から電話が来た。
出たくなかったので留守電にしたら、留守電には
「・・・あのさぁ、ホームページっち、どうやって作るん?」
と意味不明な事が吹き込まれている。
数日後に電話をする。
1:最近は育児と身体の具合も悪いのでパンを焼いてない
2:娘が大きくなった時の為に貯蓄が欲しい
3:夫が『ジーンズのダメージ加工』が出来るようになった。
4:其れを売る為のサイトが欲しい
妹は若年性パーキンソン病なのだが、母親が経営する介護施設に併用されているカフェで働いていた。
『手作りパン』
と言うのが年金生活の年寄りにヒットした(田舎のパンは『山崎パン』と決まっているので『形が不揃いな手作りパン』と言うのは其れなりに都会的と言うか衝撃的なのだ)。
何かと中毒しやすい体質で、一日200個のパンとケーキを作る事に喜びを得てしまい朝4~5時には店に入り、只管、パンを焼き続けた。
処が子供を出産して、体力的に持たなくなってきたらしく今は開店休業。
そこで夫がダメージ加工のジーパン、と言うワケだ。
妹は元ヤンキーで番町になった程なのでPCやサイトの知識は皆無である。勿論、夫も元ヤンキーなのでPCなんて分からない。
私にすればバイクのエンジンを自分で組立てる方がサイトを作るより難しいと思うのだが。
そう言えば友人が「自分のサイトが欲しい」と言う。勿論、ホームページの知識は皆無である。
「分かるよ!ちゃんと調べたもん!ホームページを作るには『ドメイン』と『サーバー』が必要なんでしょ?」
「そうだよ。で、其れを何処で手に入れるか知ってる?」
「何処なの?売ってるの?」
「うん。TUTAYAとかGEOでも売っているよ。時折、リサイクルショップとかで格安で売ってる。」
「え?!そうなの?」
「あとはサーバーは家に設置しなきゃ駄目だから結構、面倒だね。ウォーターサーバーとかあるじゃん?あんな感じで」
「じゃあ、ウォーターサーバーの会社がサーバーを売ってるの?」
「そうだよ。って言うか、ウォーターサーバーがあるじゃん?あれがサーバー」
「えー!そうなんだ。面倒臭いなぁ」
「そうなんだよ。面倒臭いんだよ」
と言う会話をしたのだが、妹も似たような事を言ってきた。
「って言うかサイトを持つ必要性なんて今時、余り無いぞ」
「やって(だって)、あった方がエエんやないん?」
「まぁ、無いよりはマシ程度かな」
「ちょー、作ってぇ(ちょっと、作ってよ)」
「『作って』ってデータは?」
「データっち何?(データとは何ですか?)」
「写真とか文章とか」
「そんなん、どっかから勝手に取ってくればエエやん」
「良いワケねぇだろ!今時、直ぐにバレるぞ」
「ほんやったら(だったら)、どうすればエエん」
「だから、ダメージ加工したジーパンの写真とか撮影してだなぁ。あと、それを紹介する為の文章とかだよ」
「文章っち?」
「ダメージ加工を売るんだろ?其れの売り文句みたいなもんだよ」
「今、チカが言った事をアンタが文章にしてくれればエエやん」
「はぁ?俺はジーンズのダメージ加工なんて知らないし、お前は説明しているつもりかも知れないが、俺にはサッパリ分からん。大体、ジーンズのダメージ加工なんて俺が高校生の頃は自分でやっていたもんだ!」
「そんなん、知らんっち(そんな事はどうでも良い)。やけん(だから)、ホームページ作ってっち(作ってよ)」
「だから、どう言うサイトにするかデザインとか」
「あんたが作ればエエやん」
「普通のサイトでエエんっちゃ(良いのだ)!やけ、昭和っぽい感じやけ(昭和っぽい感じで)」
「昭和っぽい?昭和の時代にホームページなんて無いぞ?そもそも、まだMS-DOSすら怪しい時代だし・・・」
「やけ、チカが言った感じで作ってくれれrばエーんっちゃ(良いのだ)!」
「それが意味不明だから言ってじゃないかよ!」
「其れに、なん?デザインっち」
「じゃあ、死ぬほどダサい、WEB1.0みたいなデザインでも良いのか」
「それやったら『ダッサいわぁ、あんた』っちチカが言うけぇ(その場合、美的センスに欠ける、と忠告します)」
「だったら、デザインとか決めなきゃならんだろ」
(略)
「サーバーをどうするかだよな」
「なん?そぇ(其れは何ですか?)」
「サーバーだよ、サーバー。データを保管する場所だよ」
「そんなん、テキトーでエエんやないん?」
「無料のサーバーと、有料のサーバーがある」
「無料でエエやん」
「無料だと広告が入ったりする。3ヵ月後とに更新しないと広告が入るサーバーもある」
「更新はアンタがしてくれればエエやん」
「俺が?デザインもサイトも作って、更新までやれ、と?しかも無料で?」
「それが兄弟姉妹の愛情っち言うやないーん?愛情っち大事やけーぇ?(大事なものでしょう?)」
「愛情ねぇ・・・。ってか、データがないと始まらないって」
「ふーん。やったら写真とかアンタに送ればエエん?」
「とりあえず、其処からだな。あとはインスタグラムとかFACEBOOKにリンクさせれば良いだろう」
「あ、あとね」
と、突然、話題が変わる。
「お姉ん(オネン=姉)がさぁ」
「あ、そう言えば結婚して子供が産まれたらしいな」
「ムカつくっちゃ!」
「ふむ」
「誰と付き合うとか勝手やけどよ!チカにとってはよ?実家っちオトン(父)とオカン(母)とチカの場っち言う感じなんよ」
「オトンは死んだじゃないか」
「チカが見取ったワケやん」
「まぁな」
「その実家によ?!結婚する前に、結婚するかどうかも分からん男を連れ込んでぇよ?チカ、ほーとー、ムカついたけんね!(とても、感情的になりました)」
「連れ込んでたんだ」
「ほーよ!(そうです)。チカ、ほーとー、ムカついたけんさ。『出て行かんかー!』っち、首根っこ掴んだけんね!」
若年性パーキンソン病で、普段は手足がしんどいはずなのだが、時折、こう言った『リハビリ』がある(激怒して暴れまわる)。
「ふーん。ってか、男を連れ込むってお前もやってたじゃん」
「え?」
「俺が実家に帰省していた頃に、夜中にお前、彼氏を連れてきたじゃないか。『カーくーん。連れてきたぁ~』とか言って」
「え!・・・え!」
「あの同じ会社の介護やっている奴でさ。で、俺が『馬鹿!母親が見たら激怒するから帰れ!ヤバいって!』って焦って帰らせたぞ」
「・・・それは・・・覚えてない・・・ちゅうか・・・まぁ・・・エエわ・・・じゃ・・・」
「他にもいたぞ?確か何だったかな。あいつ以外にも・・・」
「もう!エエって!(もう、結構です!)」
「で、姉の夫ってどんな奴なんだ?会うつもりはないが」
「カッペよ!カッペ!(カッペ=田舎者)!。カッペでキザな奴っちゃ!」
「カッペって・・・(北九州も十分、田舎じゃないか)」
「カッペの癖に、キザっちゃ!(田舎者の分際でキザな人だ)」
「カッペって何処出身なんだよ」
「田川やったかのぉ・・・確か、そんなんよ(田川市だったと思うが、北九州市内の人ではないです)」
「田川って別に田舎でもないぞ。俺の友人が田川にいるけど、面白いみたいだし」
「キザっちゃ!(気取った人です)」
田舎者で、キザな奴ってのは一体、どういうモノなんだろうか。何というか
『農作業をスーツで行う』
『村の盆踊りでブレイクダンス』
『MACBookにDAWを積んで詩吟』
『畑の草むしりをヨウジ・ヤマモトの服でやる』
『農道をフェラーリで飛ばす』
『首都高をトラクターで飛ばす』
『農業用水路でウィンドサーフィン』
『稲刈りが終わるとフランスワインとシガーで一服』
『豊作祝いの歌がシャンソン』
とかなんだろうか。ますます意味不明だ。
「・・・で、どんな奴なんだ?」
「20代」
「え?20代?・・・姉は幾つだっけ?」
「43歳」
「凄いな。若い性欲っていうか。若いのに、よく40代の女に欲情出来たよな。」
「ほやけね~(そうだね)。やけ(だから)、絶対、浮気するけんねーっち思っちょるんよ(必ず浮気するのではないか?と思っているのです)」
「なんで?」
「オネン(姉)が50の頃に相手は30代やん?一番、サカりの時期に50代とか絶対ぇー浮気するけんね」
「って言うか20代で、40過ぎなんだから、30代でも50代で逝けるんじゃないか。姉は結構、SEXは激しいらしいから」
「カッペでキザで、ムカつくっちゃ!(不愉快です)」
「まぁ、まぁ」
「そいつがよ?会社の人の・・・何か見取り図っちゅうか、人の部下とか、あるやん?」
「組織図ね」
「それを作ったんやけどチカとかカー君とか役員やん」
「そーなんだよなぁ。俺、一応、役員なんだよな。無職で貧乏なんだけどなw。『幻の役員』って言うなw(介護施設を作る際に名義だけ役員と言う形になっている)」
「それ見たらチカが、そいつの部下っちゅう事になっとんよ!」
「って事は俺も、そいつの部下なのか?」
「ほーよ!(そうです)。チカ、ほーとームカついてよ!『コレは何かー!』っち怒鳴ったんよ」
「怒鳴る前に金属バットで殴れば良かったのにな。後頭部めがけてフルスイングで」
「で、ミヨさんがよ(ミヨさん=黒木みよ子=母=ミヨさん)、『チカちゃん、そんな事で騒がんの』っち言うてよ!チカが悪モンみたいな感じなんよ!」
「まぁ、オカンも面倒な事は避けたいんだろ。ってか、そんな組織図にOKを出した方が問題なんだけどな」
「チカは一応、役員やん?」
「俺も役員だけどな」
「ほなのによ?チカは施設では『パン屋のお姉ちゃん』みたいな感じなんよ!」
「まぁ、姉は施設長だし、お前は実際にカフェをやっているんだか別に役割分担で良いんじゃないか?」
「あんなん、オトンとチカの実家に男を連れ込むような奴がよ!」
「其れはお前も同じじゃん」
「兎に角、ムカつくっそ!(兎に角、不愉快です)」
「まぁ、俺は姉の子供にも、夫にも会うつもりはないから別に構わんが」
「チカもあんま、悪口とか言いたくないんよ!お互い子持ちやけん、預かってもらったりしよるけん」
(こんだけ悪口を言うワリには助けあってんじゃん)
「あ、ほんで、話、変わるんやけど(あ、ところで話が変わるのですが)」
「なに?」
「ホットペッパーっち、いくら掛かるんやろ?」
「っは?ホットペッパー?」
「チカ、ネイルの資格を考えちょるんよ」
「は?ネイル?」
「で、ネイルとか友達に聴いたらホットペッパー見るっち言うんよ」
「ネイルで稼ぐって言う事?」
「ほう(YES)」
「ネイルねぇ」
「ホットペッパーっち、いくら掛かるか知っちょう?」
「今、調べたら一番、安いプランで4万円らしいね。意外と高いな」
「4万?高っ!」
「・・・あ、でも、このプランだとwebだけの掲載だな。紙媒体と」
「なん?カミバタイ?」
「カミバタイじゃなくて紙媒体。雑誌だよ。フリーペーパーだろ。あれは」
「ふぉん(うん)。で?」
「雑誌とWEBに掲載だと7万だな」
「7万!高っ!」
「大体、ネイルって何処でやるんだよ」
此処で妹の夫と電話交代。
「お久しぶりでーす」
「お久しぶりです。あの、WEBなんだけども妹に説明しているけども分かってないみたいだから。取り敢えず写真・・・作った作品の写真とかはあるんでしょ?」
「あ、えーっといくつか作品は必要ですよね」
「そうですね。その云々かんぬん」
「あー!分かりました。じゃあ、作ったら写真と文章を送りますんで宜しくお願いしますー!」
「はいはい。あと、ネイルとか言っているけど。」
「あー。ネイルって言ってもネイルの資格なんてないんですよ」
「え?資格の勉強中とか言っていたけど」
「スキルだけなんですよ」
「あ、そうなの。」
最初から妹の夫と話した方が話が早かった。
と言うか、妹は私に愚痴を言いたかっただけなんだろうが。疲れる電話だった。
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