2016年6月21日火曜日

燃え尽きている

先日、『宙づりというサスペンス@BankART Studio NYK』の音を担当したのだが作曲、録音、ミックスダウン、マスタリングが終わってから燃え尽きている感じがする。


鳥の会議も燃えたが(燃え尽きたから止めた訳ではなく休憩中だけである)、今回の音作りは完全燃焼だった。



今回の舞台は当初は稽古を見学する予定だった。
ところが諸処の事情で稽古の見学が出来なくなった。



これって、どう言う事かって言えば
『目隠ししてジャングルに入って』『ジャングルのライオンを槍一本で殺す』

とか


『童貞が童貞を捨てる際』に『相手も厳格なクリスチャンの処女』

とか


『レコードを買った』が『レコードプレイヤーがないので溝を見る』


とか


『F1に出場することになった』が『車がないので大八車で出場』


とか


『ヘレン・ケラーが宝塚歌劇団花組で主演』


とか


『視力0.01の人が裸眼』で『暗闇の中でコンタクトレンズを探す』


とか


『異端カタリ派の信者が』『永平寺で修業をする』


とか


『googleの社員』が『素手で象を倒す』


とか、


もう、その位、大変なわけで。

曲のデータを全て渡し終えたら丁度、パソコンが壊れた。

「元はとったが、やはりパソコンも燃え尽きたか・・・」


と思った。


新しいパソコンにしたのだがウィンドウズ10になってしまったので、あれこれと設定が大変。

Ableton LIVEを再設定するのだが、私は海賊版を使っていたので再度、購入しなくてはならない。

だが、LIVE9だと此れまで入れていたプラグインやVSTが使えない事が分かった。
データが重たすぎてダウンロードに3日掛かったが、メインで使っていたリバーブ等も使えないのである。
で、結局、Ableton LIVE8に戻した。海賊版なのだが、このバージョンだとユーザー登録が出来るのである(9は駄目だった)。


公演を観て、グッタリ・・・と言うか「やっと終わった」と言うか。公演を観て終わり、と言うもんである。
何しろ事前情報は

『フライヤーだけ』


なんである。


スゲェよな。フライヤーだけで音を作るとか、

『泥と藁で寿司を作る』


とか

『粘土と木でSDカードを作る』


とか


『PC-98で快適なグラフィックデザイン』


とか


『太宰治に貸した金を返してもらう』


とか


『芥川龍之介に貸した金と、恩を返してもらう』
とか


もー、無理ゲーと言うか。
そりゃ、燃え尽きるわけだ。



幸い、暫くライブはないので(私は何時もライブのオファーが滅多にない)グダグダとしているだけである。
昨日、ようやくPCとLIVE8のセットアップが終わったのだが

「こんなに大変だったっけ?」

と思ったのだが、初めて導入したのは3~4年前だったが、もっと大変だった気がする。
セットアップが終わって燃え尽きている。



そう言えば公演が終わってからサエグサのオッサンが彼是と言ってくる。
文句と言うより「仲良くしたーい」みたいな。
サエグサユキオ氏とそこそこ関わっていたのは14年前とかだけど、あちらは仲良くしたいのかもしれないが、私は余り仲良くなりたくない。
出来るだけ無視したのだが、余り伝わらないようで。
いるよなぁ。そう言う奴。って俺もか?って気もするが。似たもの同士なのかもしれない。
シャブ中にでもなりますかねぇ。
写真は平尾秀明さん。



2016年6月19日日曜日

宙づりというサスペンス@BankART Studio NYK



【宙づりというサスペンス@BankART Studio NYK】

https://www.facebook.com/events/291969351144892/

上京して18年になるが神奈川県横浜市にはKO.DO.NAとしては3回しか行った事がない。

一回目はKO.DO.NAとしてライブ。
二回目もKO.DO.NAとしてライブ。
三回目は『YMOオフ会』

である。

あ、思い出したが4回だ。確か行ったら電車遅延(人身事故)で電車が遅れて到着したらライブが終わっていて、ライブの参加していた女性を口説いて、あと一歩って処で知人に邪魔されて落とせなかった、と言う苦い思い出がある。
あの恨みは一生忘れない。

とは行っても行くのは数年に一度。何しろ都内から遠い。行く理由も特にない(良いパイプ店があったが。変わったパイプが多くおいてある。あと、中華街の近くに『魔女』がやっているハーブ店がある。日本最古の『魔女店』らしい)。

そんな私が珍しく

『宙づりというサスペンス@BankART Studio NYK

に行く。


音楽は私が作っているからなんだけども。


行く前にボケ老人が倒れていて、職業病なのか介抱して、家に連れて帰る。脳梗塞か?と思い直ぐにチェックしたが脳梗塞ではない様子。ボケ老人の妻はボケてないので

「念のため病院に相談してください」

と行って家まで送る。

そんな事もありながらも珍しく時間前に到着。

遅刻魔である私が遅刻しないのは、5845億年に一回である。つまり『梵天の塔』がコンプリートされると遅刻しない。
だから今後も遅刻すると思う。
恨むなら梵天の塔を恨め。


早く着いたのでコーヒーでも呑みながら海を眺めようと思うと何故か、カフェテラスと言うか横浜アートバンクの敷地内で100円均一で買ってきたであろうバケツを頭から被って暗黒舞踏のような事をしているオッサンがいる。

それを撮影している『如何にもアート系のカメラマン』と言うか、何処となく『ヤン富田』に似たオッサンが写真を撮っている。

横には『如何にもサブカル女!』と言う女の子というか、そんなのが暗黒舞踏みたいな事をやっている。


1:『クイック・ジャパン』のバックナンバー揃ってます
2:椎名林檎が大好きです。
3:ビョークも大好きです。
4:処女を捨てたのは27歳です。
5:最近、3年も交際している彼氏から「お前はセフレ」と言われ困惑しています。
6:ヘルパー2級の免許を持っています。
7:髪型はオカッパ
8:生理の際は布ナプキンです。
9:無駄毛の処理?それって何ですか?
10:高校時代、私を『ブス』と言った同級生男子の事を未だに恨んでいます。
11:『スーパーマリオ・ブラザーズ』を一面から進んだことがありません。
12:ゴミの分別?それって何ですか?
13:『神聖かまってちゃん』のライブで泣いた事があります。
14:生理は年に4回しかきません。春夏秋冬です。
15:昨年までは『ツイキャス』と『ニコ生放送』をやっていました。
16:トランポリンすると眩暈がします。
17:洋服は母親が買ってきます。
18:近所の温厚な猫に常に威嚇されます。
19:近所の温厚な犬に常に威嚇されます。
20:先日、姪に「おばちゃん」と言われたのがショックで鬱病になって心療内科に通っています。
21:実はヤリマンでもあります。
22:エイズ以外の性病はコンプリートしました。

と言った感じの女の子。

ヤン富田と言うか

1:白髪で長い髪(後ろで束ねている)
2:軽くヒゲ
3:GAPで買ったであろうTシャツ(お腹出ている)
4:ユニクロで買ったスリムフィットパンツ
5:似合わないコンバースのスニーカー
6:『ブルーハーツ』と『ブルーコメッツ』の違いが未だに判らない。
7:脱原発


と言った風貌のオッサンが必死と言うか「俺!アート的な事をアート的な場所でやってまっせ!」と言う感じで撮影している。

コーヒーを呑みながら、サブカル女の頭にコーヒーをぶっ掛けたい衝動に駆られる。

「デジカメのメモリーっつーかSDカードって中国の貧農の末っ子達が時給25円位で命を削りながら作っているワケ。フィルムの無駄遣いとは言わないがメモリーの無駄遣いだよなぁ」

とため息が出る。


時間になったので会場へ。


行くとただっ広い空間がある。コンクリート剥き出しで、大きな柱が3本。

舞台にはフォークとスプーンが山になっている。


始まると出演者達がスプーンとフォークを持ち始めて・・・



大傑作だった。



ダンス作品でありながら、音響作品と言う驚愕の内容。


深谷正子さんの作品を観たのは2004年の麻布die prazteだった。その時にも度胆を抜いたのだが、久しぶりに

『コリオグラファー:深谷正子』

のマジック炸裂である。私が初見だった『よるのそくど』と言う作品はダンサーだけで構成されていたが、今回はダンサーが半分。あとはミュージシャンや役者である。

その個々の身体性が浮き彫りになっていて、特に中盤から後半にかけては世界が一新されるような速度と密度、生々しさがあった。

『生々しさ』と言っても誰も脱ぐわけではない。

もう、この辺は『深谷マジック』としか言いようがなくて、手品のような、と言うか。なんだろーな。判りやすい例えが見当たらないのだが

『水爆実験』
『アポロ11号の発射の瞬間』

とか、そんな感じ。一瞬なんだか、長いのか判らない爆発と言うか。

横浜まで行って見て良かった。10年に一度の大傑作だったと思う。



音楽は私が提供しているのだが、余りのスケールの大きさに自分の音など気にならない。


途中で関口大氏がブルースハープを吹くのだが、其れが奇跡的と言うと振付けた深谷さんに申し訳ないが素晴らしいフックになっていた。

ってか、関口さんって『共演者殺し』と言うか。

実は私と関口さんは知らない仲ではなく阿佐ヶ谷のジャム・セッションでお互いの音を聴いている。私はジャズやブルースじゃないので、ある意味『練習』に近いのだが、関口さんとステージにあがるのは中々、大変なんである。

サックスやトランペットでソロをやって関口さんがソロを取ると、もう後は何もやる事がない。

全部、浚ってしまうのであ。

もうペンペン草も生えない、と言うか。だから、関口さんが10割を終える前に6割位やったところで大急ぎで他の共演者が半ば、強引にソロに入る、という感じ。

ブルースハープなのに、ビル・エヴァンスのような、と言うか。青白い炎のような音を淡々と出す。

そんな音を出されたんじゃ、此方もトランペットでメロディーを吹く意味がなくなるし・・・って言うか、私の場合は大抵、演奏を止めて関口氏の音をステージで聴いているだけだったりする。


そんな関口氏が思う存分に吹き捲っているのである。唸りながら吹く。もう、悶絶するしかない。ブルースハープだから音数は限られているのに、1000の音を一息で吹くんである。

ミュージシャンを自称にせよ多少にせよ、あの音を聴いたら普通は郷里に帰る為に新幹線のチケットを買うか、就職する為にモヒカン・皮ジャンを捨てて『紳士服の青山』にスーツを買いに行くもんである。


佐藤ペチカさんとは数年前に知り合ったのだが、佐藤ペチカさんのダンスは2回しか観てない。だが、今回は

「ペチカさん、すっげー!」

と言うか。

「やべぇ!超→COOO++++++L!」

と言うか。大柄な人ではないのだが軽くターンやジャンプをするだけで縄文杉が動くようなド迫力。屋久杉でも縄文杉でも、もっと言えば都庁とか東京タワーとか、奈良の大仏とか、平等院鳳凰堂とか、皇居とか、歴史とか、米軍とか、オスマントルコ帝国とか、巨大なモノと言うか。

奈良の大仏がジャンプだぞ?

想像できるか?奈良の大仏がジャンプとかターンって!!!

カッコ良かった。


で、隠し玉と言うか
『あしたのジョー』で言う処の『金 竜飛戦』『ハリマオ戦』とか、
『まいっちんぐマチコ先生』で言う『パンチラ・シーン』と言うか、
仮面ライダー・シリーズで言う処の『仮面ライダー:アマゾン』とか、
超合金ロボットの『ロケット・パンチ』と言うか、
『うる星やつら』の第一話の『ラムちゃんのおっぱいポロリのシーン』とか、
プログレで言えば『マグマ』とか、
パンクで言えば『ナパーム・デス』とか、
サイケデリック・ロックで言う『グレイトフル・デッド』の80~90年代のライブとか、
テクノポップで言えば『DAF』とか、
パソコンで言えば『リナックス』とか、
猫で言えば『オスの三毛猫』とか、
演劇で言えば『イヨネスコ』とか、
戦争で言えば『細菌兵器』とか、
80年代TVで言えば志村けんのバカ殿様スペシャルの『おっぱい・ポロリ』シーンとか、
大磯ロングビーチで言えば『アイドル水泳大会』での『オッパイ・ポロリ』シーンとか、
プロレスで言えば『ラッシャー木村』とか(実は当時のプロレス界で最強だった)
柔道で言えば『グレイシー柔術』とか、
家電で言えば『布団乾燥機』とか、

其れが斉藤直子さんだった。

年齢も上だし、最初は余り気にならなかったのだが途中から目が釘付けである。

特に派手な動きがあるわけじゃない。ただ、その存在と言うか、身体性だけが強烈に主張する。その立ち姿が素敵過ぎる。
観音様かよ、って言うか。

スゲェ、カッコ良かった。もう、恋人にしほしいほど。


で、異形と言うか
ハードコア・パンクで言う『GGアレン』とか、
パソコンで言う『CPUクーラー』とか、
人造人間キカイダーに対しての『人造人間ハカイダー』とか、
Googleに対しての『Firefox』とか、
天皇シリーズで言えば『花山天皇』とか(天皇過ぎて、天皇を辞めちゃった最強の天皇)、

其れが『やましん』さんである。

この人はほんっとズルいと言うか。何をやっても一流なんだよなぁ。何度か競演したが、いつもgooの音も出ない音を出す。
今回も異形の人として際立っていた。


しっかし、『よるのそくど』って2004年なんだよな。それ以来の深谷マジックだった。


公演は明日までです。

こう言う作品は10年に一回。

観ないと10年は後悔する事は間違いない。後悔したくなければ横浜へ、




2016年6月11日土曜日

公共性

杉並区の保育園反対運動についてなんとなく思ったのだが、この地区、と言うより日本自体に「公共」という観念が乏しい、または皆無なんではないか?って気がする。

かつては自治体と言うより寄り合いがあったが、寄り合いが公共性を持っていたか?って言えば持ってない。
村社会と言うが昭和の中頃までは都市部を除けば村しかなく、自分の村さえよければ他の村が潰れてもOKだったわけだし。




高円寺といえば風物詩的に『高円寺阿波踊り』がある。
だが、これも第49回目までが高円寺の阿波踊りで、50回目からは商業的な、それこそ劇団四季のような、お祭りでも何でもない、非常に糞面倒な日々になってしまった。

元々は商店街が主催だったから「儲からない」と言う理由でやめよう、と言う意見は多かったのだが、やはり好きでやっていた。

ただ、決定的に『廃止』が決まりかけたのは





『地域住民の苦情』






だった。


阿波踊りの連(グループ)は練習会場に困らなかった。近所の公園や、路上で好きなだけ練習が出来た。

そのため、本場:徳島県と並ぶほどの腕前を持つ連も少なくはなかった。

ところが49回目辺りから「練習する音がウルサイ」と言う苦情を言う人が激増した。
殆どが地元住民ではなく、他区や他市から引っ越してきた

『新規住民』


達だった。





それで存続が危ぶまれたがNPO団体が継続させた。
練習場所を指定し、練習時間も限られたものになった。
50回目から一気にレベルが落ちた。



高円寺阿波踊りが存続となったのは嬉しかったが年々、腕前や嘗ての熱狂と興奮が消えていくのは中々、悲しい物がある。

芸術は祝祭の中にある。

その祝祭は公共観念をベースとしたものである。

その公共観念が皆無な場所に芸術も祝祭もねぇよな、って。

だから、高円寺阿波踊りは49回目で終わってしまえば良かった気もする。

一年を通じて何のイベントもない街にしたかった人が多く、と言うか、その意見に従おうとしたのだから。

少なくとも、その公共観念を否定する人達に対しての言葉を持たなかった事は確実なわけで(話しあはされたと思うが、その結果が連のレベルの低下を招いた)。




岡倉天心曰く人間は花を捧げることで禽獣から脱した。
祝祭や美、芸術を愛でること。それが人間である、と。
だが、それを完全否定する人達がいる。
禽獣な人達。
禽獣に飲まれてしまう論理なんぞ論理ではない。
この世を砂漠とコンクリートだけにしたい、と思う人達がいる。
その人達を私にはアイドルを刺し殺そうとした犯人との相違が私には判らない。


2016年6月5日日曜日

鳥の会議#7終了

昨年から西麻布BULLET`sに移転した『鳥の会議』。
何とか無事に終わりました。大盛況だったし、盛り上がったし、

「一旦、休憩を取り下げても良いのかも・・・?」

と思ったほど。だが一旦、休憩するには休憩するなりの理由があるので行き成り再会は難しい。


17時に入るので16時に家を出たのだが、機材が久し振りの25kg以上になった。
カセットテープレコーダーも持参したので重たくて泣きそう。
お陰で西麻布まで1時間以上掛かった。


思えば最大荷物量ってSDLX時代で、2回に分けて運んで、2回に分けて持ち帰った。確か荷物は


1:山のようなエフェクター
2:重さ8kgのオープンリールデッキとオープンテープ
3:蓄音機とSP盤



あれは地獄だった。何でそんな事をしようと思ったのか判らないのだが。
カセットテープレコーダーは韓国ツアー以来、使わなくなった。
バックトラックが必用な際はスマートフォンで良いかな?と思っていたのだが、スマホが録画ビデオや配信用になったので使えない。

カセットテープレコーダーも何年も使っていなかったので早送り&巻き戻しが出来ない。
修理する時間もない。

エフェクターは調子が悪いので修理するか買い換えるか?と言う状態。
不安要素しかない。

スタジオでゲネをやっても「うーん」と言う部分もあるし。
前日に近所の地蔵と神社で祈ったほど。
で、会場に遅刻しながら到着。


既に米本実さんが会場に来ていて、セッティングについて話す。
其処へJames Hadfieldさんが来たのでリハというよりサウンドチェック。
DJの『DJ Youzy』さんが仕事で遅れてくる事もあり、最初は私がDJ。
DJと言っても、高校生の頃にDJをやっていたが大昔の事なので既に機材の事も判らないので延々と


『裸のラリーズ』


だけを掛け続けた。そう言えば『ラリーズ専門DJ』と言う子がいたなぁと思いだした。
裸のラリーズしか掛けないDJなのだが、ラリーズから突然、EDMに目覚め、EDMイベントに行きまくり、急に「アジアをバックパックしてきます!」と宣言して、DJ Youzy氏やヨシノさん等に意見を聞き(パスポートの取り方までレクチャー)、いざ成田空港から飛び立って、海外の空港に到着した途端にパニック障害を起こし(元々、メンタル的に問題が大きい子だった)、そのまま帰国して、以来、音信不通。

そんな事を思い返しながら黙々と「ガギーン」とか「グワァーン」と言うギターと下手糞な歌の裸のラリーズをかけ続ける。

【James Hadfield】
Jamesさんとの初対面は池ノ上の『バーガリガリ』と言う店で行われている『お化け屋敷』と言うイベントである。
NOISE系のバンドで吹いていたのだが、マイクを使わずに必死に大音量で不幸としているのだが電気音の方が大きい。
NOISEの爆音から漏れ聞こえてくるJames氏のアルト・サックスの音が、それは其れは、とても美しく、バイオリンのような音だった。
オルタネイティヴなバンドと演奏する事が多い人だったが、何だか何時も屈折した表情と言うか、そんな顔がチラチラと見えていて
「この人は、本来はどう言う音をだすんだろう」
と思っていた。こう言う好奇心と言うか確信は大抵、当たる。
そんなワケでソロをお願いした。
いつの間にか循環呼吸なんぞをマスターしていた・・・のだが、そのテクニックに依存する事もなく、美しいメロディーを、適切な音量で。
私は元々、フリー・ジャズ畑にも居たのだが『フリー・ジャズのサックス』が好きではない。
理由は簡単で「面白く無いから」である。
音が歪んでいようと、何だろうと切なく、悲しくなければ、と思う。
大抵のジャズ喫茶やジャズ・バーの酒やコーヒーは不味い。だが、泥水のようなビールやコーヒーが「うーん!」と甘露に変わる瞬間ってのがあって、それがリスナー冥利に尽きる、と言うか。
フリーキーな音ではなく、メロディーを只管、紡ぐ素晴らしい演奏だった。


【米本実】
米本さんってのはホンッと損な人で。やっている音楽と言うかパフォーマンスは『テクノ』とか『テクノポップ』とか、もっと言えば『既成の音楽ジャンル』ではなく、紛れも無い

『現代音楽』
『現代美術』

のフィールドで、そのフィールドに置いたとしても破格のアーティストなのだが、その界隈にいない「自作シンセの人」と言う『所在無し』な処がある。
大体、シンセが好きでシンセを作っているワケではなく既存の楽器では米本氏は満足出来ない、と言うより数秒で使い倒せてしまう。

なので、既存の楽器では米本氏は出来ない事が多すぎるのである。

動物園のライオンみたいな感じで。

仕方がないので自分の音の為にシンセを作り始めた、と言う『自作シンセ界隈』とは可成り、違う人である。

「何をやれば良い?」

と言われたので

「米本さんがヤルことに私が何か言う事はありません。好きなことを好きなだけやってください。カラオケをバックにユーミンとかを歌っていてもOKです!」

とお願い。

だが、此処でまた好奇心と言うか。


「池田 拓実さんを呼ぼう」

と思った。

つまり
、『アントニオ猪木とジャイアント馬場、どっちが強いんだよ!?』とか
『長嶋茂雄と王貞治、どっちがスゲェんだよ!?』

とか、そう言うのが観たい、と思った。
米本さんは自作シンセ(そもそも、あのマシン達が波形から音を作る『シンセサイザー』なのか?と言う疑問もあるが)である。
池田さんは自作プログラムで以前、バンドをやっていた時に何度、説明されても判らない電子音響システムを作る人である。

『クロマニヨン原人とGOOOGLEの社員、どっちが凄いのか?』

とか

『源義経と米国海兵隊員、どっちが強いんだ?!』

とか

『ライト兄弟とアポロ11号のアームストロング船長、どっちが凄いんだ?!』

とか、

もう、意味不明な組み合わせと言うか。
此れはオーガナイザーと言うより客として観たい。池田さんにお願いすると
「俺の持ち時間を削っても良いから米本さんに『マン-マシン・インターフェース』を再演して貰いたい」
と言う。
米本実さんに話を持って行くと快く快諾。

で、『マン-マシン・インターフェースに関する考察Vol.1』再演。
巨大な方眼紙に二進法の「0」「1」がランダムに書かれている。ランダムなのか、違うのか判らない。
其れを手入力で打ち込んでいって音が出る。音がでない時もあるが、其れもプログラムである。
『鬼の米本』此処にあり!だった。


【米本実/池田拓実】

池田さんはギター(インターフェイスとしてギター)とラップトップ。画面を観ても意味不明な数値が書かれている。
米本さんはタワシを使ったシンセサイザー。
音が出たり、出なかったり、凄い音が出たり。
処が当日は平澤さんがお子さん連れで来ていた。私は子供が大好きだし、お子さんは楽しそうにハシャイでいる。
子供が楽しめないイベントを大人が楽しめるはずがない。
後ろで子供がキャッキャウフフと言っている。
ステージでは「ガー」「グワー!」「ビー」と鳴っていて、後ろでは子供の歓声。
「こりゃ、ジョン・ケージでも裸足で逃げ出す凄いステージだな」
と思った。
此の二人のデュオは小学校の音楽の教科書に載せても良い程だった。
平澤さんと言えば『OM-2』と言う劇団の看板役者だった。劇団内で唯一、『巨乳』と言って良いスタイルの持ち主だったのだが、お子さんが産まれてから痩せた。
産まれてから何度か会っているのだが、お子さんの成長に従い痩せていく。

『母は枯れ、子は栄え』

と言うか。

子供慣れしている為か、人懐っこい子でもあるし、私に飛びついてくる。で、抱っこしていると会場の人、ほぼ全員から

「KO.DO.NAさんの・・・お子さん?」
「いつの間に?」

と言われる。顔が似ているんだろうか。だが、平澤さんのお子さんの顔は夫さんソックリで、私とは似てない。
そう言えば、その子って以前、私とDAVEのユニットで、事実上のノイズ・ユニットで踊り狂っていた。
今、思い出したのだが私の作品に『振動ピアノ』と言う作品がある。
ピアノの弦にピンク・ローターを置いて弦自体を振動させて音をだす、と言うノイズ作品である。
其れを山本ヤマさんが中野区に住んでいる頃に、息子さん(小学校低学年)に聴かせたら

「これ、なんなの?」

と言われる。

「これは・・・えーっと」

「何か展開はあるのか?」

「いや、ずーっとこんな感じ」

「・・・ふーん」

と呆れられたが、音にトロトロとしてしまい眠ってしまったのを思い出した。
思えば人間のお腹の中は灰野敬二も真っ青になるほどの爆音である。
子供とノイズは相性が良いのかも。

【KO.DO.NA】
今回は新曲3曲で、エフェクターの調子も悪く、機材は25kg超え。
もう、2日前から緊張していた。
3曲だが、1曲は過去曲3曲を1曲にしたので、それを新曲と呼ぶ事も出来るから新曲4曲か。
死ぬほど緊張した。
演奏中の記憶があまり残ってない。
動画を撮影したが、動画を観てもピンと来ない。ビデオと言っても証拠物件でしかないから仕方がないのだが。
終わってからビールを立て続けに3杯。美酒だった。

【DJ Youzy】
アフロ系を中心に、と言う事で私はアフロ系に疎いのだがDJ Youzy氏のDJは超COOLだった。
踊っているのは私だけで「何で踊らないの?」と思ったほどで。


御来場頂いた皆様、本当に有難うございました。
また、来年、お会い致しましょう!