2016年10月4日火曜日

ACKid2016 ドクダミの傾斜/覚書

2014年にNYとソウル。
2015年にデンマーク。

と海を超えてツアーをやった。

九州の片田舎で育った『田舎者』にとって海の向こうに行くためには『アメリカ横断ウルトラ・クイズ』に出場するしかなく、TVで観る限り『ウルトラ・クイズ』の難易度は高く・・・と思ったら30kgの機材を抱えて海を渡るんだから分からないモノである。

で、デンマークでマウスピースを紛失し、帰国してからから想像意欲が完全に消えてしまい、どうしよう・・・と思っていた。
色々とやったのだが、創作意欲は出ず。もう、地獄のような時間が続いた。

目的もなく楽器の練習をする日々。

「此れで終わっちゃうのかな」

と思っていた。



其処へ深谷正子さんが楽曲制作依頼を出して来た。

とても、作れる状態じゃなかったのだが「作れ」と言う。

で、DAWを使って作ってみたら「あれ?作れる・・・」と言うか。曲を作る楽しさを再発見。

だが、DAWと言う面倒なソフトで作るので試行錯誤だったが、其れも含めて楽しかった。

とは言え。

「此れは完璧でしょー!」

と言う曲がボツになり、

「え?これですか?」

と言う曲が本採用となったり、不思議な感じだった。製作中は其れこそ実験と言うか、此れまで使った事がない手法を使ったり、しまいには

『初音ミクのベータ版』

を手に入れて、作ってみたり(此れは自らの手でボツにしたが)刺激的だった。




ACkidの公演が終わったので、その感想も含めて書こうと思う。



ACkidの公演は個人的にはキッチリとキメたかった。前回・・・と言うか以前、深谷正子さんとの共演は中野テレプシコールだったのだが前日と当日に遠藤寿彦から『殺害予告』が来たりして、私自身のモチベーションもダダ下がり。

それとテレプシコールは電気楽器の使用が禁止されている。

その為、本来のスタイルでは出来ないと言うか。



今回のACkidはPAも使えるし、って事で前回よりは遥かに良いように・・・と気合十分。
スイミングも再開して、肉体トレーニング。

「ぶっつけ本番はやめましょう」

と言う事で船橋市内の深谷さんのスタジオで合わせる。google先生は「1時間半ですよ〜」と言う事だったが、実際には2時間半かかったが(まさか、あんなに遠いとは思わなかった)。

稽古してみて多少なりとも手応えを感じた。






手応え、と言うか「演奏時間20分で、時折、音を入れてくれ」と言う事だった(と思う)。
だが「時折」となると、私もミュージシャンなので延々と入れかねない。

なので最初の10分、後半の10分以外は『5分』で区切った。

別に3分でも良かったのだが、5分と言うのが区切りが良いし、意外と5分は長い。


で、彼是と考えながら当日。


会場に到着すると関直美さんがハイテンションでオブジェを作っている。そのハイテンションさに圧倒される。

深谷さんも手伝っている。












予想以上に関直美さんのオブジェが巨大で驚いた。殆ど『ピンク・フロイド』状態。


自分の機材を持ち込むのも難儀する程。


で、リハーサルへ。


リハーサルは何故か40分遅れでスタート。
















ちょっと前半が飛ばし過ぎだな、と思い本番ではトランペットにミュートを付ける事にした。

5分毎の音は私の目論見では間違ってない様子である。

で、本番。



客席はフルハウス。正直、立ち見すら出したかったが。




で、始まり、始まり・・・。


本番で10分間演奏し、その後の『5分毎』が意外と本番になってみると


『凄く長い』


事に驚いた。休符とか楽譜があるなら別だが、半ば即興的に5分ってのは可也、長い。

「え!?まだ2分???」

と思うほど。

途中で具体音を入れたのだが、この具体音はリハーサルでもやったので飽きていた。後ろを見ると折り畳み椅子があるので、其れをガチャンガッチャンとやった。
面白くて、延々とやりたかったが「壊れそう」と思ったのと、余り長くやっても仕方がない気がしたので数分で終わる。

ラストの10分はフリークトーンのハイトーン。で、リバーブとワウペダル。リバーブは2台と少しだけディレイ。

脳味噌に血が上りすぎるのか「ガリガリガリ・・・ジジッジジ!」と言う音がする。左耳だけだが。
だから、自分の音は右耳だけでモニタリング。

演奏中に耳鳴りは良くあることで、まだ凄く下手糞だった頃にJamセッションでは何時も耳鳴りだった。

金管楽器の演奏が原因で突発性中耳炎になる人もいるくらいだしなぁ。肉体的な負担が大きい楽器だ。





『無音を5分』
と言うのは、『ミュージシャンとのコラボ』で私が「良いなぁ」と思った舞台を観たことがないからである。

ダンサーにせよ、役者にせよ、1時間とか30分の中で『身体パフォーマー』は観せていくが、音はリアルタイムだ。

この時間差は埋めようがなくて、ミュージシャンにとっての1時間は『単なる1時間』だが、演者はその時間の中で序・破・急を作る。

ほな、どないせぇ言うねん?となると演奏者は

「演奏しなければ、しないほど良い」

と私は思う。何だったら「全く演奏しない」でも良いと思う。だが、「全く演奏しない」と言うのは可成りの難易度だ。

ジョン・ケージの『4分33秒』なんて楽譜があると言うのに難曲なんだから。


終わったら佐藤ペチカさんがハグしながら「良かった・・・」と言ってくれた。
嬉しかった。

概ね、好評だったと思う。

思えばキッド・アイラック・ホールに初めて行った時は客が9人だったんだよな。招待客(無料客)が5人と言う有り様。
最後の時間に演奏できて良かった。


で、その日、CDを『初売出』したのだが売れたのは3枚。

「招待で無料で来た奴は買えっつーの!」

と内心、激憤した。

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