2011年12月8日木曜日

リオネェーネン・デル・ウィッチェロ




リオネェーネン・デル・ウィッチェロと読むらしい。



実はイベント名を付けたのは数年前で、其れまでは『ライブ・ラウンジ』とタイトルだった。で、他のイベント等を参考にして「流石にイベント名くらいは付けたほうが良いのでは」と思い、当時、食事中に読んでいた澁澤龍彦の晩年の作品『鳥と少女』から名づけた。

本によると澁澤龍彦は『元祖引き篭もり』とも言えるほど自宅から出るのを嫌がったらしく、晩年に再婚してから10年くらいして漸く海外に行ったらしい。
そんな澁澤龍彦だが、再婚相手へのプロポーズの文句が

「そんな出版社辞めちゃいなよ(奥さんは元出版業界)。世界旅行に行きたいんだったら僕が何処へでも連れて行ってあげるから」

なんだが。だが実際に旅行に出かけるのは、それから10年後である。


行く先はイタリア。


イタリアに行った際、前日に呑み過ぎたらしく頭痛薬を妻から貰った。定期船の船の中で服用。
船には澁澤龍彦曰く「如何にも貧しいイタリア人母子家庭」が同乗していた。女の子は10歳くらい。日本人を見るのが始めてらしく興味津々である。お母ちゃんは「あんまりジロジロみないの!」と怒るが子供の好奇心には負ける。

退屈した妻が薬の袋(当時はパウチではなく三角に折られた紙だった)で『折り紙』を作り始めた。女の子は、何か手品が始まるのではないか?!と驚愕したらしい。奥さんは『鶴』を作った。

その鶴を澁澤龍彦はイタリア人の女の子にプレゼントした途端、女の子は初めて見る『折り紙の鶴』を見て

「ウィッチェロ!」

と叫んだ。



澁澤龍彦の晩年の作品はどれも思い切った『大駄作』ばかりで、「よくこんな酷い駄作を出版できたなぁ」と思うほどなのだが、思い込みと妄想と好奇心が入り混じった駄作作品は読んでいて小気味良いのである。

澁澤龍彦のエッセイ(半小説、半エッセイなんだが)では、この下りが大好きで使う事にしたが、実は


何と発音するのか分からない


のである。前回、何かのサイトで読み方を知って、しかし流石に1年2ヶ月ぶりなので忘れていて、先ほど漸く知った次第である。意味は


『鳥の会議』



一時期、鳥の鳴き声を研究していた事がある。主に『カラス』の鳴き声だった。カラスは明確に『何かを伝え』『言語』がある。そして言語以外にも『単なるサウンド』としての鳴き声も持っている。
意外と綺麗好きで、善福寺川公園の川で『カラスの行水』が夏の朝であれば見ることが出来た。

杉並区のカラスは「がーがー」である。基本的に「がーがー」。
私の郷里のド田舎では「カーカー」だった。「ガ」ではなく「か」だった。

で、驚愕したのは渋谷区のカラスである。「がー」ではなく

「ギュワァァァァー!ガ!ガ!ガ!」
「クワァ!クワァ!クワァ!」


と言った感じでジミ・ヘンドリックスのワウ・ギターを彷彿させた。あれは絶対に渋谷区で流れているロックとか音楽の影響だと思う。
実際に鳥達が人間が作った『音』を真似る、と言うことは70~80年代を通じて事例が多々ある。

あるイギリスの地方の鳥は電話の「コール音」を真似たらしい。


鳥の声は美しい。カラスの声だって美しいと私は思う。カラスに向かって良く『オウム返し』と言うか真似て発してみた事がある。カラスは

「ん?似ているけど何か違う?何だ?」

と言う顔をする。


トランペットはブランク期間が5年ほどあった。18歳~20歳まで吹いて、演劇を始めて演劇を辞めて、暫くしてからだった。

私は歌いたかった。「じゃあ、歌ってみよう」と思った。スタジオに入って録音してみたが自分の声がどうしても好きになれない。
世のボーカリストと言う人々は、その辺の折り合いをどう付けているのか知らないが私は、録音するまで自分の声は例えば

シド・バレット
ニック・ドレイク

のような声を出したい、と思っていたのだが明らかに違う。しかし歌えないと音楽が出来ない気がしたし、当時、作った曲は全て『歌』が入る事が前提だった。

仕方がないのでトランペットを引っ張り出した。引っ張り出したは良いが、既にガラクタ以下に壊れていたので新しく買った。3万円の一番、安い奴。新宿の島村楽器だったと思う。

最初は低音しか出ないし、其れこそ「ガー!ボー!ビー!」としか出ない。それでも練習。

すると最初はカラスがよく集まった。何故かカラスに好まれた。気がつけば聴いてくれている。

暫くすると『犬』が集まった。気がつけば寝っ転がって聴いてくれている。

暫くすると老人がきはじめた。気がつけば静かに聴いてくれている。

暫くすると子供が集まり始めた。気がつけば騒ぎながら「何か吹いてー!」と言ってくれる。そう言えば私の演奏で踊ってくれた黒人の子供がいた。

暫くすると猫が集まる。猫は怖がりなので遠くから聴いてくれている。

暫くすると普通の人々が集まり始めた。カラスも犬も子供も老人も猫も集まらないが「上手い」とか「セッションしましょう」「バンドに来ないか?」とくる。




鳥たちは人間の音を真似出来る。だが人間は鳥の声を真似できない。リコーダーと言うテもあるが、あれは「人間が理想とする鳥の声」であって、鳥の声ではない。あくまでも「楽器の音」である。


今日のライブでは鳥の声、人の声が一緒になれば良いなぁと思う。




と言うわけで皆様のご来場を心よりお待ちしております。

19:30 KO.DO.NA (55)
- break 25 min -
20:45 sebon (45)
- break 30 min -
23:00 Baby Copperhead (40-45)
24:00 end
24:45 closed

の予定です。


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riunione dell'uccello
西麻布スーパーデラックス
2011/12/8(thu)
19:00/21:00
charge:free
http://riunione.web.fc2.com/


出演(順番)
KO.DO.NA
黒木一隆(TP、ピアニカ)と木ノ下友一郎(エレクトロニクス、ギター)によるユニット。クラブDJ、現代音楽を経て、劇団唐組入団。同退団後、劇中音楽作曲やインプロビゼーションを主体とした幾つかのバンドを経て、2002年静寂音響ユニット『KO.DO.NA』を開始。2006年『KO.DO.NA :小人の化学』発売。2010年ルクセンブルグ『soundzfromnowhere』より「riunione dell‘ uccello」発\。その後、幾つかのオムニバスCDへ参加。ラトビア共和国の音楽誌『フラッシュ』にて紹介される。西麻布『Bullets』『スーパーデラックス』等に不定期出演。オーファイな電子機材を用いノイズの中から賛美歌、児童音楽、鎮魂歌を紡ぎだす。 舞台音楽から即興演奏、楽曲演奏まで幅広く活動中。
http://kodona.web.fc2.com/

sebon
中南米の歌心に、新宿界隈のネオンライツ浴びせたHOME LESS音楽ユニット。バンジョーウクレレやマンドリンといったアコースティック楽器から、自作電子楽器、コンピューター、おもちゃなどを使いこなせないなりに使いこなし、鉄橋の下で料理を作っているおじいさんからいつもインスピレーションを得て活動している。今回、中心人物である秋房と川村が、10月~11月にかけてメキシコを旅するので、そこで集めたとれたての映像や音を使ってのライブをする予定。さらにゲストメンバーも呼んで、よりカラフルにバージョンアップ!ご来場の方には先着で、なんかメキシコみやげあげます。
http://sebon-eatsong.blogspot.com/


Baby Copperhead
ニューヨークを拠点に活動するベイビーコッパーヘッドは、卓越したバンジョー、ギター奏者であると同時にエレクトロニックや凝った電気回路を操り音を作り出す。 WNYC(ニューヨークのラジオ局)曰く『バンジョーを巧みに操りSF的世界をそこに表現するのに長けた幻想的バンジョー奏者である。』 ベ イビーコッパーヘッドのエレクトソニックなバンジョーの楽曲は時にシルバーアップル、ディーボ、そしてデイビットボウイと比較される。現在彼はDJラプ ショーのNettleに参加している。彼はこれまでに、ノーナヘンドリックス、ジムカンパローノを始めとするニューヨークを拠点に活動する数々のアーティ ストと演奏してきた。 ベイビーコッパーヘッドはニューヨークを中心に活躍する一方でヨーロッパやアジアでもツアーを行ってきた。引き続き、視覚芸術家、ダンサー、映画や演劇家とのコラボレーションを含めた音楽活動を行ってく。
Official Wedbsite (http://www.babycopperhead.org)
Blog (http://www.babycopperhead.blogspot.com)


henna dress/変なドレス
ゲームボーイを動物的カンで操りチップチューン系譜から逸脱した曲を作ったり、β-DJと称しDJの可能性を間違った方向に追求したり、電子オモチャをサーキットベンディングしたり(やりすぎ壊して落ちこんだり)、たまに電子回路など制作したり、ローファイな絵を無心に描いたり、捨てられないゴミ等用いてオカンアート的な何かにしたり、森の中にカセットテープやぬいぐるみをあるったけぶちまけて喜んだり、田舎⇔都会の日常の中で怪しげなレポートや工夫を編み出したりうんぬん。志の低さが志の高さなのよと勝手にのたまいつ、しごく自由にマイペースに活動している。所属チーム、セロリーマン(+サム・ベネット+いとうはるな)ドレミファインバータ (+tanabe)変な米本(+米本実)変なCDR(+CDR)へんとーます(+トーマス)など。海外では、Abigail Stern(NY)Agoostus(アリゾナ)gola(イタリア)Justin Wallisらと共同制作中。今回はβ的CDVJとして出演です。
http://sound.jp/hennadress/

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