2016年9月20日火曜日

山芋と童貞

風邪を引いてしまった。


鼻水と頭痛である。鼻水と頭痛が酷いのにプールで泳いでいるので決定打だ。
それで今日は夕食を長芋とベーコン炒めにした。

で、炒めていると部屋が臭い。

どうやら長芋から発せられる匂いらしい。

「この匂い、知っている・・・」

と思ったらザーメンの臭いである。


全世界の男性は皆、知っている『孤高の青春時代』の香り、つまり童貞時代の香り。
または女性ならば「男性が求める行為で最も理解が出来ない行為から発せられる香り」である。

だが、勿論、その臭いを知らない女性もいる。






この年齢になると子供を持つ友人がいるのだが、男の子だったりする。
で、その男の子が10代半ばになって『背徳』『悪癖』『勝利と栄光の日々』を知ったとする。

其処へ子供部屋へやってきた母親が部屋の臭いに感づく。

その後、帰宅した夫へ言うのである。

「貴方・・・」

「ん?」


夫はナスの浅漬けとビールを呑みながら、妻のどうでも良い話を聞く姿勢(ウンザリな姿勢)に入る。

「うちの子、部屋で山芋を食べているのよ・・・!」

「山芋?」

「育ち盛りだからシッカリ食べさせているのに・・・部屋で一人でコッソリと山芋なんか食べて・・・!」

「・・・山芋を・・・部屋で食べてるのか?」

「そうよ!!!台所もないのに、どうやって食べてるのか知らないけど・・・食べてるのよ!親に隠れて!山芋を!」

「そりゃ、お前がちゃんと食べさせてないんだろ。あいつは柔道部だし、食べる量も凄いだろうし」
「食べさせてますよ!ちゃんと!今日もご飯を5杯と、トンカツを豚一頭食べてましたよ!」

「豚一匹って・・・豚は売ってないだろ。何処で一頭も仕入れたんだよ」

「・・・養豚所」

「え?養豚所?」

「だって、あの子の為にトンカツってなったら一枚、二枚じゃ足りないんですもん」

「養豚所から買ってきたのか?」

「買うと高いですし・・・」
「まさか・・・!?」

「一匹くらいバレやしないわよ。牧場でフラフラさせている方が悪いのよ」

「って、豚って言っても暴れるだろ。お前、どうやって・・・」

「貴方には黙っていたけど・・・最近、カラテを習い始めたの」

「カラテ?」




そんな不毛な会話が繰り広げられ、夫はやはり男性なので息子を呼び出して言うのである。

「お前・・・部屋で山芋を食べているって・・・なぁw。お母さんが言ってたぞ」

「・・・!!!」

「まぁ・・・お父さんも男だ。だからお前の気持ちも分かる。然し、だな?」

「・・・だって、俺、男子校だし、柔道部だし・・・」

「そりゃ判っているさ。お父さんもお前と同じように部屋で山芋の臭いを出していた時期があるさ。だがな?お前が好きなアルチュール・ランボーも言っている。『光り輝く忍耐』だ。東京五輪の予選まで後、2週間だろ?」

「・・・うん」

「まずは金メダルだ。それまでアルチュール・ランボーになった気持ちで忍耐してみないか?」

「・・・でも・・・」

「まぁ、辛いのは判る。お父さんも男だ。無茶は言わないさ。ただ、部屋の換気はしないとなw。お母さんが山芋って勘違いしているからな」




と言う不毛な会話がなされないとは限らない。

ただ、最近の乱れた日本の若年層の性生活を鑑みるに『山芋の臭い』が何であるか?を知らない女性が少ない、とは考えにくい。

タンパク質であり、成分の大半は同じモノだからである。

だが、『孫』がいる女性もいる。
『孫』が居る位なので、それなりの年齢である。

50年代~60年代まで『口淫』は澁澤龍彦の本によると立派に『ド変態』『考えるだけでも恐ろしい行為』だったので(澁澤龍彦の性生活を知りたい処だが、奥さんのエッセイに記載はない)知らない可能性は高い。



祖母が孫に会いに行く。孫の部屋に行ってみる。

孫は『ニコニコ生放送』なんぞやっているのである。
其処へ祖母を登場させてみたりする。

その際に祖母が気がつくのである。

帰り際に孫にお小遣いを渡す。
その際に言うのである。

「○△□ちゃん。ちゃんと台所で食べないと、手が痒くなるわよ?」

で、次に母親に言うのである。母親、つまり自分の娘だ。

「○△□ちゃんにちゃんと食べさせてる?」

「そりゃ、もう・・・食べ盛りだから・・・昨日も得意の骨法でヒグマを殺して、一人で食べてたし」

「○△□ちゃん、あの部屋で一人で山芋、食べてるのよ!あんた、知ってるの?お腹、空かせてるのよ!」

「山芋?」

「部屋が山芋の臭いで一杯なのよ!母親であるアンタが知らないなんて・・・こんな娘に育てた覚えはないんだけどねぇ!!!」


嗚呼、考えただけでウンザリする話だ。だが、こうやって十代の男の子の


『勝利と栄光の日々』

『悪癖』

『背徳』

『TABOO』

『奇跡と芸術と過剰と風刺の時期』


が作られるのである。
思えば私も奇跡と芸術と過剰と風刺の時期に、家族に『TABOO』の瞬間を目撃されたことがあった。
あれは全く持ってブルースだったなぁ。ジャズと言うよりブルースだった。





上記動画は熊を倒せる格闘技:骨法である。

主な使い手は『獣神サンダー・ライガー』である。 


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