因みに友人は男性である。
竹宮恵子ってのは『風と木の詩』の作者だ。
私は『サイン会』と言うモノに行ったことがない。
現物が手に入れば良いだけで、サインがあるとか無いとか気にしたことがない。
この辺は私が北九州市出身で、頑張っても『現物』しか手に入らなかったからだと思う。
演劇をやっていた頃も演劇を観に行くことは稀だったし、音楽をやっている分際でライブに行く本数も桁外れに少ない。
『そう言ったもの』
を初恋のように恋い焦がれた頃に、そのミュージシャンの音源を手に入れる事が精一杯だったし、演劇は来たことがなかった。
だから、ボブ・デュランのライブに2万円払う人の気持も分からないし、レベッカとかフジロックに行く人の気持ちも判らない。
『それを作った本人』を観る、と言う事の価値が判らないのである。
あ、思い出した。
先日、ガンバおじさんのバンド『SxAxC』を観に行ったのだが、当日はMelt-Bananaが高円寺でライブって事もあって集客が芳しくない・・・みたいな事を言っていた。
だが、私は『SxAxC』の方が面白い、と思ってしまう。普通に面白かったし、音楽的にも素晴らしかった。
Melt-BananaなんてYOUTUBEで良いだろ、って言う。またはCDで良いだろ、って言う。
メジャーどころのライブと、新年の皇居参拝の違いが判らない。
youtubeやCDで良いだろ、って言う人を其れなりの額を払って行く人の気持が判らない。
ただ、これは私が田舎モノで、その多感な時期に『其の行為が目の前で行なわれる』と言う経験が皆無に近かったからである。
そんなワケで『人生初のサイン会』である。
しかも、伝説の『風と木の詩』の作者だ。
結構、緊張した。何しろ初めてなのである。
しかも、連載開始が1975年なので恐らく中年女性ばかりだろうなぁと。
で、行ってみた。場所は八重洲ブックセンターだ。
8階に行って『風と木の詩:原画集』を買ってチケットを貰う。
「前のほうが開いております」
と言うので、前列3列目に座った。
たまたま空いていた。
で、竹宮先生の話を拝聴。
実を言うと『風と木の詩』は予習って事で前半だけ読んだ。
だが、私の好みではない。
個人的に萩尾望都の方が好き。『トーマの心臓』は遠藤周作の『海と毒薬』と同じくらいインパクトがあった。
完全に個人的な好みの問題だけども。
質問コーナーがあったので私も聴きたいことが幾つかあった。24年組って1ドル=300円の時代にシベリア特急に乗ってヨーロッパ旅行に行ってんだよな。
其れでヨーロッパが舞台になる漫画が多くなったらしい。
徳島県育ちで、上京して、行き成りヨーロッパって言うのは凄い衝撃だっただろうなぁと思うのと同時に、当時の少女漫画家の執筆活動がどんな修羅場だったのか?って言う。
当時は全て手書きだ。スクリーントーンは売っていただろうが、無いものは作るしか無い。
一話を書くのに、一体、何百時間かかっていたんだろう、と思う。
少女漫画家は多忙を極めるので男性編集者と『男女の仲』になることは珍しくなかったらしい。有名な処で言えば『ホットロード』とか『ちびまる子ちゃん』である。
とは言え、竹宮恵子とか24年組クラスになると編集者と男女の仲になれる程、暇ではなかっただろうし。
少女漫画の黎明期って事もあり、編集者もよく意味も分からないママ、資料や取材材料を金に糸目をつけずに出していたらしい。
で、サイン会だ。
初めての事なので緊張する。
会場は予想はしていたが中年女性と言うより(って私が既に中年の域だが)
『50〜60歳の女性』
が9割。元祖腐女子、とでも言えば良いのだろうか。
残りの1割が若い女性と、男性(男性も50代後半と言う塩梅)だ。
オバサン達は、オバサン達なりに頑張ってお洒落してきている。
厳寒の東京駅だと言うのに露出度も高め。
羽生選手が出場する大会席のような様子である。
で、私も緊張しているし、判らない事だらけなので隣のふくよかな、体積が大きい、対面積が大きい50代半ばと思われる女性に
「これ(原画集)、どうすれば良いんですかね・・・」
と聴くと
「これにサインをして貰うのでビニール袋から開けておいた方が良いですよ」
と親切に教えてくれる。
・
・
・・・・・のだが、この女性の口と言うか口臭が物凄い臭いなのである。
オブラートに包んだ言い方をすれば
『クサヤの臭い』
であり、分かりやすく言えば
『ウンコの臭い』
なのである。
インフルエンザが流行っているので『クサヤ』を食べてきたのか、はたまた元祖腐女子として
『BL→スカトロ』
と言う性癖の持ち主なのか、物凄い歯槽膿漏なのか。
だが、歯槽膿漏がウンコに変換されるのか?
以前、佐藤yukieさんとライブをやって、帰りに坂本美蘭さんと3人で阿佐ヶ谷の呑み屋で呑んだ事があった。
B級グルメが好きなyukieさんが、突然
「マスター・・・『クサヤ』はありますかねぇ」
と言うと、マスターは此れから起きる残劇を喜ぶ悪魔のような笑みで
「ごぉざいますよぉ〜♪」
と歌うように言う。お前はメフェレスとかよ、って言う塩梅だ。
焼き始めた途端に店内が凄い臭いになる。思わず口数が減る。
で、出てきた。
「なんだ。魚を焼いただけじゃないか」
と思い、口に含んだら口の中に、分かりやすく言えば
『ウンコ』
の臭いが爆発する。ウンコを食べたことはないが、恐らく、こう言う味だろう、というか。
思えばウンコも発酵食品も本質的には変わらない。
坂本美蘭さんは
「意外と美味しいですね」
と食べている。
隣の席の人が
「お、クサヤですかぁ〜」
と言うので隣席の初対面の人も食べる。
「うちの故郷の名物なんですよ〜」
と嬉しそう。
『食わぬは武士の恥』
と玄界灘の荒波を西に眺むる九州男児中の九州男児が食い物に後は見せられない。
「上等っすよ!」
と頑張って食べたが、口数が減るほどである。味よりも嗅覚が凄くて汗が出る。
帰宅しても口の中が『クサヤの臭い』で翌日まで残った。
竹宮先生のサイン会では其れを思い出した。
隣の女性と少し話したりしたのだが、女性が話す度に『クサヤ』の臭いが鼻孔目掛けてダイレクトに来る。
クサヤは健康に良いが、その女性は健康に悪い感じがする。
なんで、こんなに臭いんだ?。クサヤを食べてきたか、気合の入ったスカトロ・マニアか?
と思ったりもするのだが、そもそも50〜60代が9割なので会場内は加齢臭が凄い。
『加齢臭』
『美しいBL』
『少女漫画家の女帝』
とう組合せが理解が出来ない。
途中で竹宮先生がジルベールと言う『風と木の詩』をライブで書いた。色紙は一枚だけなので抽選である。
「それでは・・・2番です」
となったら、皆、自分のことように拍手喝采である。こう言う所は良いなぁと思ったが、当たった人は50代後半と思われる男性だった。
当日、お気に入りのコートを着ていたのだが、帰宅しても、
『クサヤ女』
の臭いがコートに染み込んでいる事に気がついてウンザリした。
翌日、クリーニングに出した。
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