『風を弾いた』と書くと一気に『ボブ・ディラン』、または『はっぴいえんど』っぽくなるのは多感な時期に聴いていたからだろうか。
ってか、ボブ・ディランは最初に買ったLPが『時代は変わる』だったんだが、ジミ・ヘンドリックスとかデトロイト・テクノとかゲリゲロゲゲゲとかを聴いていた10代には、もう殆ど『雅楽』並に渋すぎてサッパリ理解出来なかった。
ただ、翻訳された歌詞は大好きだった。ディランの『時代は変わる』が好きに成ったのは随分、あとだった。
しかし、これほど『テッパン』な風邪は一年に一回くらいだろうか。あ、昨年、舞台監督をやった時は仕込みの日に思いっきり風邪を引いてしまい、死にそうになった。
あの時は死ぬかと思ったな。
何しろ10mの脚立の上で何やら、やらなきゃならないので「これで落ちたら来世は小さな虫になるんだろうな」と思った。
舞台スタッフって年に平均2人は落下とかで死亡している。死亡はしていなくても重症をおったり。
で、医者に行く。
「インフルエンザではない・・・と思うよ」
と藪医者は言う。
「どのくらいで治りますかね」
「インフルエンザだと3日かなぁ。風邪でも3日くらいなんだけどね」
「じゃあ、2〜3日は伏せるしかない、と」
「うーん。これは言い難いのだけども、君の場合は2〜3日じゃないね」
「へ?と言いいますと?」
「余命4日だね」
「はぁ?余命4日?。普通、半年とか1年じゃないですか?!」
「仕方がないだろ。君の風邪は普通の風邪じゃないんだよ」
「じゃあ、病名は?」
「えーっと、長いんだけども『常染色体劣性遺伝性若年先天性中枢性肺胞低換気症候群アフリカ睡眠病』なんだよ。1億人に一人の症例だ」
「・・・・これって実在する病名なんですか?・・・なんだか適当な病気を並べただけのような気がするんですが」
「何だと!お黙り!シャラップ!ビー・クワイエット!君は医者に歯向かう気かね!」
「いや、そう言うつもりでは・・・」
「君は医大を出たのかね!君は医者かね!学会に行った事があるのかね!」
「いや・・・って言うか・・・」
「嫌もクソもない!シャラップで、ビー!クワイエットざんす!君は東海村JCO事件で被曝した奴がドロドロに溶ける様を見たことあるのかね!」
「いや・・・普通、ないと・・・」
「私は3代続けて医者なんだよ!3代だよ?初代は明治時代だ。明治、大正、昭和と平成と激動の時代と政治の季節に医者やってんだよ?君のような、まだクチバシも青いし、ケツも青いガキに何か言われたかぁな
いね!」
「・・・・とりあえず分かりました・・・」
「まぁ、余命4日間だ。好きな事とか、思い残すことがないように楽しむことだね。あ、言っておくけど化けて出ないでね。うちの妻とか子供が嫌がるから」
「・・・はぁ」
「うちの子は、今年、受験なんだよ。其処は勘弁してくれ給え!」
余命4日か・・・。
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